変じゃない ページ34
side未織
二人と別れて､凪咲と教室に戻る。
「智樹先輩って､すごい人だね。」
凪｢うん...私もそう思った。｣
「...どうかした？｣
凪｢私､変なのかも。｣
「どうして？｣
言葉の内容とは、
裏腹に凪咲の目はキラキラして見えた。
凪｢まだ､智樹先輩のことあんまり知らなくて...
なんなら､会話らしい会話も上手く出来てないし。
初対面の時､マネージャーなんかいらないって言われたし...｣
え､そんなこと言われたの...？
憧れの人に？
｢う､うん...｣
初めて聞く衝撃的な話に少し､動揺してしまう。
凪｢でもね､野球してるとことか...
他の先輩達といるところとか見たり､
今日みたいに他の誰かから､智樹先輩のこと聞いたりするたびに...､
どんどん好きになる。」
...！
「ふふっ｣
凪｢...やっぱりおかしいのかな？｣
「そんなわけないよ。
全然変じゃない。｣
凪｢.....｣
「凪咲は､自分向けられたものじゃない言葉とか笑顔で､智樹先輩の魅力に気づけてるってことでしょ？
すごく､素敵なことだと思うよ。」
凪｢...ありがと､未織。
なんか､際限なく気持ちばっか大きくなりそうで...
ちょっと怖くなっちゃった。｣
自分でも戸惑ってしまうくらい､
誰かを好きになるってどんな感じなんだろう。
――春。
自分の恋に走り始めた者。
自分の気持ちに蓋をすることを決意した者。
叶わない恋をしようとしている者。
それを見守る者。
移ろう季節の中で､
色んなことが変わり始めていた。
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作者名：美波 | 作成日時：2020年5月4日 14時
