言わない ページ18
未｢よかったね､凪咲。
もしかしたら､あの人に会えるかもよ？｣
｢いや！まさかの展開過ぎて...！
どうしよう...！｣
ほんとに心臓が体にいくつもあるんじゃないかと思うくらい､ドキドキが止まらない...。
未｢ふふっ
落ち着いて。深呼吸して。｣
｢う､うん...！｣
side柊平
那｢柊平ー！
なんであの二人帰らないのー？｣
グラウンドから見える位置にいる二人を那智が目ざとく見つけた。
｢あー...
ウエイト終わって､野球部が出てくんの待ってるから。｣
那｢お前...自分から教えただろ？｣
きた...
那智の見透かしタイム。
｢まぁ､な。｣
那｢あのなぁ､
そんなことしたって､凪咲にお前の気持ちは伝わらないし､【ありがと､柊ちゃん！】で終わりだろ？！」
...びんご。
柊｢いいんだよ､それで。
凪咲が笑ってるなら､それでいい。｣
これは、
強がりでも､思い込みでもない。
間違いなく本心だ。
那｢〜〜...っ！｣
どんな感情だよ、ウケる。
柊｢馬鹿だろって､言わねぇの？｣
自分が一番分かってる。
俺って､もしかしてドMなのかな...。
那｢言わない。｣
...！！
那｢ほら､行くぞー
今から試合形式だってさ！｣
｢那智､ありがとな。｣
先を歩く那智の背中に向かって､
聞こえないだろう､覚悟の大きさで呟いた。
那｢はー？
なんのお礼だよ。｣
...聞こえた。
那｢しゃきっと走れー！｣
いつもの那智だ。
俺はいつも､
こいつのこういう分かりにくい優しさに救われているんだろうな。
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作者名：美波 | 作成日時：2020年5月4日 14時
