妖78 ページ42
維波side
『……』
「……」
お互い無言で歩く帰り道
こんなにも静かに、目も合わせない何て事は初めてで
……でも、如何わしい事を為さろうとした赤羽様が悪いんだもん
ギュッと、自身の掌に爪を食い込ませる
「A、止まって」
不意に肩を掴まれ、停止
その儘引き寄せられて、ポスン 彼の腕の中へ収まった
『なん……で、すか』何て震えた声
チラリ、赤羽様のお顔を窺う
「車、来てたから」
『ぇ……ぁ…………お手間を取らせて終い申し訳ありません』
「……別に」
赤羽様の腕から出て、ぺこり、頭を下げる
……それからは、また、無言
今度こそお車が来ないのを確認して、白黒の道を踏み向かい側の路へ
無言
……不意に赤羽様の手が自身の手へ触れた
反射で手を引っ込めれば赤羽様が何処か悲しそうに微笑んで
「……家に着いたら少し話しをしよっか」
*
程なくして赤羽様の家に帰宅
座ってて、と言われソファの隅で大人しく腰を下ろしてれば赤羽様からグラスに注いだ“いちご煮オレ”と言うピンク色の液体を頂いて
一口
……味、しない…
隣にドサッと、赤羽様が豪快に腰掛ける
私と赤羽様の間には、人が1人座れる位の間
……寂しいと思うのはきっと…気の所為
「…A」
『……』
「…、ごめんね、って…言いたいけど……まずはAの話聞かせて?何が嫌だった?」
そう、静かに、優しく訊ねる赤羽様の声音はとても柔らかくて
……何が、嫌だったか、何て……、そんな事決まってる
……けれど、果たしてそれは言っても良いものなのか、私、が、口を挟む何て烏滸がましいにも程があるのではないか
何て、グツグツと煮える思考の下
赤羽様が今一度「A」と短く名を呼んだ
その琥珀色の瞳は真剣で、優しくて
キュッと口元を結ぶ
『……あ、赤羽様がっ!他の女性と、く……ちづけを交わそうとするの……や、です』
「…うん」
『むね、が…、ギュッて苦しくなり……ます…』
今も尚苦しい心臓を服の上から握る
服の上からなのに、まるで直接心臓を握られる感覚
…、この先の一番言いたい事も、纏まっている、けど……、それは、私が口を出して良い事なのか判らないから
『……お願い、良いですか…?』
『っ……これから先っ、私意外と為さらないで……、為さろうとしないで下さい。口付けも……その先もっ…………私だけにして下さい…っ』
───だから私は、赤羽様の良心に、“お願い”と言う名の“欲望”を、送り付けます
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サヤ - リトルメンさん» マジですかありがとう御座います!維波ちゃんの方は私も力を入れて考えて更新してるのでそう言って頂けて嬉しい限りです(*^^*)ありがとう御座います! (2020年3月13日 12時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - リトルメンさん» おおっ!ド直球な告白!!これは照れるしかねぇなっ!!スッゲェ嬉しいわアザっすっ!! (2020年3月13日 12時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
リトルメン - これすっごく好きです!!! (2020年3月13日 11時) (レス) id: f24aeb68b1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - 鶴さん» 一回一回ご報告下さる良心だけでも充分有難いですし、許す許さない何てありませんよ 笑 (2019年7月16日 22時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - あ、よかったです!昔めっちゃ怒られたことあったので、許して頂いてありがとうございます。 (2019年7月16日 18時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヤ&アヤ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 20時