妖65 ページ28
赤羽side
自分のあんまりな思想に悶絶し、やっとの思いで寝付けたのは時計の短針が3を過ぎてからの事だった
それなのに彼女が起きる前に起き、少しでも長く寝顔を見てたいと起床する辺りもう駄目なのかもしれない
彼女の可愛い寝顔をじっくり見て、それから窓へ目を移す
窓先の外は雨がぽつぽつ程度に弱まっていて、少なくとも昨晩の様に雷が鳴る心配はない
だからなのか
昨晩しっかり握られていた手は、もうすっかり緩められていて
怖い、と涙で濡れていた顔は、柔らかく笑みを浮かべていて
そっと頬を撫でてからゆっくり繋いでいた手を離す
途端 彼女のネツで包まれてた手をじめっとした生温い風が上塗り
奪われたネツ
それにイラッとし、気持ち良さそうな彼女の細い身体を軽く揺さぶる
『ぅん……んぅ…?』って可愛い声の次にAが薄っすらと目を開く
『…………あかばねさま……?……おてて…』
ゆるゆる、手を開いては閉じて、開いては閉じる動作
「雷も収まったし、もう繋いでなくても平気でしょ?」何て意地の悪い言葉に、彼女は緩く頬を桃色に染め、ふんわりと微笑を浮べる
いつもなら頬を赤らめて顔を隠すだろうに、今回反応が違うのは寝惚けてるから
そんな可愛い一面にまた心臓が跳ねて、それを隠す様に「起こしちゃってごめんね?」と彼女の前髪を梳く
「布団から出たらじめっとした感じが気持ち悪くてさー」
「……Aで温めてよ」
顔を逸らし、手を差し出す
後はこの手が、彼女の小さな手に包まれるのを待つだけ、…………なのに___……
「っ……」
衣越しに伝わる暖かな体温
胸に回った細い腕
背中全体に感じる柔らかな感触に、すぐそこにある彼女の端正な顔
ビシッと思考が固まる
………
………え、いやいやいや、えっ?!これは流石に駄目っつーかヤバくない?!仮に寝惚けてだとしてもこれは駄目じゃん!?襲うよ?!
バクバク鼓動が早まる中
取り敢えず襲っちゃう前に起こそう、起こさなきゃと「A、離して?」と彼女の後頭部を軽く叩く
返って来るのはくぐもった可愛い声
一気に鼓動がより一層早まって、深々と息を吐いた
「っはぁ……心臓止まる…」
*
そっと彼女の体勢を元に戻し下に降りてから2時間弱
いつもと全く同じ時間に階段を降りる音が聞こえ、後ろ見ぬ儘「おはよ、A」と声掛ける
「……A?」
いつもなら返って来る筈の声が無く、不審に思い振り向けば……彼女の顔は真っ赤、で───
「……ぇ……」
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サヤ - リトルメンさん» マジですかありがとう御座います!維波ちゃんの方は私も力を入れて考えて更新してるのでそう言って頂けて嬉しい限りです(*^^*)ありがとう御座います! (2020年3月13日 12時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ - リトルメンさん» おおっ!ド直球な告白!!これは照れるしかねぇなっ!!スッゲェ嬉しいわアザっすっ!! (2020年3月13日 12時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
リトルメン - これすっごく好きです!!! (2020年3月13日 11時) (レス) id: f24aeb68b1 (このIDを非表示/違反報告)
サヤ - 鶴さん» 一回一回ご報告下さる良心だけでも充分有難いですし、許す許さない何てありませんよ 笑 (2019年7月16日 22時) (レス) id: fb5777db69 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - あ、よかったです!昔めっちゃ怒られたことあったので、許して頂いてありがとうございます。 (2019年7月16日 18時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヤ&アヤ x他1人 | 作成日時:2018年3月6日 20時