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おはようのはじまり ページ12

6時半、スマートフォンの初期設定のまま変えたことのないアラームが鳴る。夜遅くまでゲームで白熱したせいで冬なのに薄着である。毛布からはみ出た足と肩が冷えていて、思わず布団にぎゅっと縮んで潜り込む。

「ん、さむ…」

スヌーズ機能で鳴り続けるスマホを止めて、ベッドサイドのテーブルに置いてあるメガネを手探りで探した。かしゃん。げっ、落ちた。最悪だ…。よいしょっと、ベッドから上半身を乗り出してやっとメガネを掛ける。

「今日は…12時か」

昨日の連絡を確認すると、マネージャーが迎えにくる時間は正午。もう少し寝たい気もするが思いきってカーテンを開けてみる。まだ明けきってない夜を、まだ始まりきれてない朝を、何一つ働いていない頭でぼーっと見る。隣でまだすやすやと眠る温もりを抱きながら。

あっという間に日が上がった空に目もくれず、春の香りを感じながらコーヒーを飲む、何てことが出来ないのは花粉症に悩まされる人間にとってはあまりに当たり前のことだろうか。

読みかけの雑誌を手に窓辺の明かりが差し込む椅子に沈み混む。ぽかぽかと暖まり出したその椅子でそのまま夢の中へ堕ちる。二度寝から目が覚めるのは1時間後くらい。

「Aくん、おきて?」
「…………ん、」

8時を過ぎたら近所のスーパーに併設されたパン屋に向かうため外着に着替える。あ、晴れの日だけ。雨の日は冷蔵庫の中から何かを探して食べる。今日は空気が少し肌寒いのでパーカーに下は着替える気力が起きなかったのでジャージ。

「あ、鍵忘れた」
「もう、なにやってるの(笑)」

気を取り直してパン屋へ向かう途中でお気に入りのスニーカーが汚れていることに気が付いた。朝ごはんを食べたら靴を洗おう。今日の予定は決まりだ。

今日のおすすめは、ピザトーストだと言うがいつも頼むものは変わらず決まっている。サラダサンドをふたつ、玉子サンドもふたつ。帰ったら、とびきり美味しいコーヒーをいれよう。





 彼と同棲ワンルーム





───────────────



2月号の初回ということで今回は朝をテーマに、同棲彼氏となってもらいました。単独初連載に少し緊張していた様子ですが、撮影が始まると少し座った眼に崩した髪が寝癖のようで、寝起きの再現を忠実にしてくれたAくんでした。


御厨A(28)
#タイトルはきみのもの

恋愛観とはほど遠い→←=



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作者名:ヒロイン症候群 | 作成日時:2021年1月31日 12時

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