22話 ページ22
夏油side
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「可愛い〜!!」
「これなんかAに似合いそうじゃないか?」
「すごいです夏油先輩、本当にありがとうございます!」
お洒落な浴衣屋さんにテンションが上がっているようで何よりだ。
私のチョイスは間違ってなかったな。
硝子とAは女子で盛り上がっているし、
灰原は七海にガーリーな浴衣を着せて爆笑している。
……面倒なのはこの特級だな。
「そんな拗ねないでくれよ悟、Aも喜んでいるじゃないか」
「…俺だって、Aに感謝されたかった」
そう言って口を尖らす悟は、幼い子のようにそっぽを向く。
「ほーら、そんな拗ねてないで悟も浴衣選ぼう」
「むー」
「せんぱーい、これとこれどっちが似合うと思いますか??」
浴衣を選ぶそぶりを見せない私たちに気を遣ってくれたのか、
Aと硝子がこちらにやってくる。
1つは白い生地に向日葵が散らばって描かれていて、
もう片方は赤い生地に白や黄色の牡丹が彩られている。
…たしかに、甲乙つけ難いな。
どちらも彼女は似合うと思うし、どちらがいいというのは本当に難しい。
「こっちは色味がすごく可愛いんですけど、ザ・浴衣と言ったらこっちかなーみたいな」
悩みどころです、と笑いながら眉を下げるAをみて、悟がぼそっと呟く。
「…どっちも買ってやる」
「え?」
呟きが聞こえてしまった私は思わず悟の方を見る。
「いや、悪いですよ。でも気持ちはとっても嬉しいです、ありがとうございます」
Aにも聞こえていたようだが、さすがに遠慮して首を振る。
「いい。俺が買いたいから。貸せ」
そういうと悟はAから2つの浴衣を奪い、お会計を済ませてしまった。
「……」
Aは強引にされたことを悲しく思ったのか、
哀しげな表情を浮かべて俯いてしまった。
「悟」
「おい五条。どういうつもりだ」
レジから帰ってきた悟を硝子と咎めるように見ると、
ようやく自分のやったことに気がついたのか、慌てふためいた。
「わ、わりぃ。悲しませるつもりじゃなかったんだ。
ただどっちも似合うと思ったから、俺が買いたかっただけなんです…」
ほんとごめん!と両手を合わせて謝る悟が、こんなに素直だったのかと驚く。
「…ごめんな?」
心配そうにAの顔を覗き込む悟は、
飼い主に嫌われないように頑張っている子犬みたいで。
最強にもこんな一面があるんだな、と少し微笑ましく思ってしまった。
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更新遅くてすみません
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楽々(プロフ) - さとこさん» そうです!疾走感のあるエピソードを書くのは苦手ですが、精一杯頑張っています笑笑 これからも更新頑張ります、応援ありがとうございます! (11月5日 11時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
さとこ - もしかしたらなのですが、私がリクエストさせて頂いたお話を書いて下さっているのかも…と思いながら読ませて頂きました!五条先輩の少し焦ったような感情が感じることができ、続きがとても気になります!更新して頂き、ありがとうございます!m(_ _)m (10月21日 21時) (レス) id: 6be4d9c700 (このIDを非表示/違反報告)
楽々(プロフ) - ぷりんさん» ありがとうございます!!!励みになります😭 (9月23日 21時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - すごく面白いです! (9月23日 16時) (レス) @page28 id: 46c210aa58 (このIDを非表示/違反報告)
楽々(プロフ) - aiueoさん» リクエストありがとうございます〜 かしこまりました〜!応援にも感謝します😉 (8月16日 10時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楽々 | 作成日時:2023年8月11日 15時