12話 ページ12
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「先輩、話を聞いて考えたこと、言ってもいいですか」
「たぶん俺も同じこと考えてると思う」
三芳さんの話していた家に向かいながら、私たちは考えを共有しあう。
「噂の正体が呪霊なのは確定です。その上で私は、その呪霊のもとはその子どもであると考えます」
さまざまな家庭があることは自分の経験からよく分かっている。
でも、こんなふうに考えてしまうこと自体が、情けなかった。
「たぶんですけど、母親が元気である子供が妬ましかったのでしょう。子どもが子どもを襲うなんて哀しいですね」
母親が病弱であるが故に、看病で年相応の遊びができなかったのだろう。
同じ年頃の子どもはたくましく遊んでいるのだから、羨ましいのは当たり前だ。
「気になるのは、その犯人である子どもが生きているかどうか……」
口に手を当てて考えていると、五条先輩が言った。
「…お前、頭の回りがはやいな」
「え」
思わずついて出たような言葉に、先輩の方を見る。
「いやまあ、元気な子どもが妬ましかったっていうのは、俺も考えてた。……でもその子供が元気だろうかなんて、そこまでは考えられなかった」
犯人である子どものことまで考えるなんて、やさしいんだな、と屈託なく笑う先輩が、なんだか輝いてみえた。
「…いきなりそんな褒めないでくださいよ」
「さっきの仕返しだ」
にやっと仕返しができて満足そうな先輩に、私はなんだか照れ臭くなって、話題を逸らす。
「ほら、着きましたよ」
「…やばそうな気配しかしないな」
その家からは、とても禍々しい憎悪に紛れて、どこか悲痛な哀感を感じられた。
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更新しないって言ったのにしました。
というか順位もいただけ、お気に入りの登録者さんも、おとといに比べ6倍ですね(7時現在)。
ありがとうございます!
数ある素晴らしい作品の中から、この小説を読んでくださっている皆様に、本当に感謝したいです。
これからも精進していきますので、どうか、最後までお付き合いください。
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楽々(プロフ) - さとこさん» そうです!疾走感のあるエピソードを書くのは苦手ですが、精一杯頑張っています笑笑 これからも更新頑張ります、応援ありがとうございます! (11月5日 11時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
さとこ - もしかしたらなのですが、私がリクエストさせて頂いたお話を書いて下さっているのかも…と思いながら読ませて頂きました!五条先輩の少し焦ったような感情が感じることができ、続きがとても気になります!更新して頂き、ありがとうございます!m(_ _)m (10月21日 21時) (レス) id: 6be4d9c700 (このIDを非表示/違反報告)
楽々(プロフ) - ぷりんさん» ありがとうございます!!!励みになります😭 (9月23日 21時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - すごく面白いです! (9月23日 16時) (レス) @page28 id: 46c210aa58 (このIDを非表示/違反報告)
楽々(プロフ) - aiueoさん» リクエストありがとうございます〜 かしこまりました〜!応援にも感謝します😉 (8月16日 10時) (レス) id: c458930b6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:楽々 | 作成日時:2023年8月11日 15時