渡辺カップル 2

# 53 ページ4

Aside



助手席側からちらっと覗くと携帯をいじってる彼の姿。

窓をトントンと叩くと私の存在に気付いた彼は携帯を置いて、私に乗ってと促した

そのまま無言で乗り込む


渡辺「 焦った、まじで 」


「 来るの遅い 」


渡辺「 お前携帯繋がんねぇし、ほんとにふっかん家行くとは思わねぇじゃん 」


その翔太の言葉に手に持ってた携帯を確認すると充電が切れてた
だから私に連絡がなかったのか。いや、連絡は入ってたのか。

そして少しの沈黙のあと、翔太が一言、「 ごめん 」と呟いた。


渡辺「 なんかめっちゃ余裕なかった

ここ最近仕事ばっかで、まぁ仕事のせいにはしたくねぇけど、全然構ってやれてねぇなとか余計なことばっか考えてさ、挙句の果てお前に八つ当たりするとか、まじで最低だよな、俺。 」


こんな落ち込んでる翔太久々に見た


「 うん、最低 」


渡辺「 、え 」


「 でも、お揃い 」


渡辺「 ん？何が？ 」


「 私も翔太の気持ちに気付いてあげれなかったし。だから私も最低。お互い最低。 」


渡辺「 お揃いなのに嬉しくねぇな 」


そう言って微笑む翔太。


「 でもほんとに私の方こそごめんね 」


渡辺「 や、お前は何も悪くねぇよ 」


「 でも翔太？ 私翔太が思ってる程、気にしてなかったよ 」


渡辺「 ん？ 」


「 翔太が仕事ばっかりで構ってくれないとか全く思ってなかったし、なんか私は、一緒に暮らしてること自体が幸せだからさ、 」


渡辺「 お前、それはずるいわまじで 」


「 ほんとのこと言っただけですけど 」


渡辺「 は、かわいい 」


「 急にやめてよ、恥ずかしい 」


渡辺「 やっぱ無理、他の男と連絡取るの禁止 」


「 いや他の男って、私が連絡取るのふっかさんくらいなんだけど 笑 」


渡辺「 ふっかもダメ、今後一切、禁止 」


「 え〜、まだ映画の話終わってない···· 」


渡辺「 俺が言っといてやるよ、何？ 」


「 いやいや面倒臭いじゃん 笑

何も無いって、ふっかさんとはほんとに。翔太だって知ってるでしょ？ 私にとってはお兄ちゃん的存在なの！ 」


渡辺「 お前どんだけ必死なの、逆に怪しいんだけど 」


「 そんなに信用できない？ 」


渡辺「 ふっかも男だよ 」


「 ふっかさんのことも信用してないの？ 」


渡辺「 なんかそれはきこえ悪いじゃん、やめて 」

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