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Act.2《錯綜》 ページ4

「ずっと目隠しされたままじゃきつかったな。今外してやるから。」



と同時に、自分に腕が伸ばされる気配を感じた。


『…ひっ……………ッ!』


抱き締められた時の恐怖が蘇り、身を強ばらせる。


「A、目隠しを外すだけだからな。」


耳元で優しく優しく中也が囁く。

まだ心の何処かに彼への愛が残っていたのだろうか。
溶けてしまう様な熱い吐息に、胸が揺らぐのを感じた。


そして、目の付近への圧迫が緩んだと思うと布が解かれ、ぼんやりと中也の姿が映る。


『ちゅう、や…………。』

「ん?どうかしたか?」


話す気力もなくてするりと下に視線を落とした。
中也は其れを咎めることもなく、指を私の髪に絡めて親指で目の下をなぞる。


「一寸きつかったか?跡がついてる。」


そう言って、中也は私を覗き込む様に顔を近づけた。

途端に漂ってくる、強く甘い香り。
異常な程心配する様な、青い瞳。


『い、いやあッ!!』


激しい吐き気と恐怖に襲われ、思わず目の前の中也を押し飛ばした。

ドサッ

床に転ぶ鈍い音がした。

はっとして中也に目をやると、怪我をしている様子はなかったが、床に肘をついている。


『ごめん、なさ………!』


又、目隠しをされる。
いや、今度はそれ以上の何かかもしれない。

カタカタと手が震え、呼吸が荒くなる。




「いや、何ともねェよ。気にすンな。」


中也はするっと起き上がって、予想外にも私に笑いかけた。


「手前も其の格好のままじゃ嫌だろ。風呂と服の用意をしてくるから、少し此処で待っていられるか?」


その言葉に一瞬呆然としたものの、冷や汗をかいた服のままも嫌だと思ってこくんと頷いた。

私の反応を見て、中也はぱたんと部屋から出ていく。

1人取り残された部屋で、私に押し飛ばされた時の中也の顔が頭から離れなかった。





どうして

閉じ込めるなんて酷い真似をしておいて

私に拒絶された時

驚く訳でもなく

怒る訳でもなく



何故あんなに悲しい顔をするの。

Act.3《混濁》→←Act.1.5《蠱惑─中也side─》


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ぽむぽむ(プロフ) - みー坊さん» コメント、感激です!!!毎日読んでくださるなんて……幸せすます!ありがとうございます(*´-`)他の作品も頑張ります!それはもう、全力で!! (2018年4月12日 6時) (レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)
みー坊 - 初めてコメントいたします。すごく面白くて、続きを毎日楽しみにしていました。ヒロインがどうなるのかハラハラしていたのですが、2パターンのエンディング、どちらも素晴らしかったです!他の作品も楽しみにしておりますね(^^)完結お疲れ様でしたm(_ _)m (2018年4月12日 0時) (レス) id: ecce6735cb (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむ(プロフ) - くるみさん» ありがとうございます!!もうそろそろselectsceneなのでお楽しみに、です(*´-`)私も全力で更新します!! (2018年4月10日 17時) (レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 夢主がこのあとどういう選択をするのかすごーく気になります!!続きを楽しみにして居ますね!! (2018年4月10日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
ぽむぽむ(プロフ) - くるみさん» ありがとうございます!!クラクラする位の愛を書きたかったので、そう感じていただけてほんとに感激です(*´-`)更新もばんばんしていきます!! (2018年4月9日 18時) (レス) id: 0ca2e09788 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽむぽむ | 作成日時:2018年4月5日 15時

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