とびきり蕩ける軟禁生活を貴女に。【文スト】

LastAct-2 ページ17

『私、帰りたくない………。』



中也への恐怖が頭をよぎった。

此のまま中也の傍に居続ければ、きっと私は狂っていってしまうだろう。


「どういう意味だァ……？俺がどんなものからも守ってやる。愛を溢れる位たっぷりと注いでやるのに……。」


何時からだろうか。

貴方が狂っていったのは。

微笑みながら歪んでいった貴方の、何時も叫んでいたあの声にすらならない声───





＿＿＿＿"助けて"





ずっと、聞こえていたのに。





『中也……。私、もっと遠くに行きたいの。』





「A、何を言っているんだい？此処で私と幸せになるんだろう？」


太宰さんの言葉に、私は頭をふるふると横に振る。


中也となら、狂ったっていい。

いや、もう出会った時点で狂い始めていたのかもしれない。




「そりゃあ、最高だ！A、俺と誰にも邪魔されない処へ行こうなァ……？」


そう言われても、不思議と恐怖は沸かなかった。

ただただ、其の甘い甘い言葉への陶酔。



『中也、好き……。傍に、居て。』

「勿論、其の心算だからなァ？絶対、手前を離さねェよ。」



そう言って、中也は私を抱き締めた。
少し、痛くて息苦しい位。





蕩ける程に愛を囁かれて、

噎せる程に愛を吐いて、


この世界には、私と中也の２人だけ。




───Fin───

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