検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:20,823 hit

ページ11

──Aside──






夜中だと云うのにあちこちに点っている灯りが煩わしい。すれ違う人々の幸せそうな笑顔も、楽しそうな街の雰囲気も、全てが目障りで心地悪い。




何時もの事だった。


吸血鬼──中二病らしい響きではあるが、それは怪異の王とも呼ばれる存在でもある。


その存在が世に知れ渡っていないのは、吸血鬼のほとんどが死んで( 、、、)いるからだ。


吸血鬼は完全な不死という訳じゃない。太陽、十字架、聖水など弱点はある。


如何に強い吸血鬼といえど、太陽の光を長時間浴び続ければ、体は灰になる。つまりは死ぬ。


そして吸血鬼の死亡原因は、そのほとんどが“退屈”。



『退屈は人を殺す』──のだ。




けれどそれすら、私には許されない。


強い者の宿命とでも云うべきなのだろうか。笑えるね。




賑やかな大通りとは相反して、薄暗く沈黙に包まれた路地裏に座り込む。





此処が一番落ち着く。

誰の目も気にする必要がないから。




君には孤独が似合う。

そんな事を私に云ったのは、誰だったか。





「こんな処で何をしているんだい、御嬢さん」





煩いな。こんなところまで、なんで態々。





「此方においで。幾ら春先とは云え、風邪を引いてしまう」

『良いです、大丈夫ですから』

「臥煙Aさんだろう?」




顔を上げ、初めてちゃんと男を見た。

黒い篷髪。砂色の外套。色白の肌に、黒い瞳。




『元ポートマフィア幹部の太宰さん、...だったかな』

太宰「...流石ですね」

『知っているからなのかも知れないけれど、さん付けと敬語は止めて。鬱陶しい』

太宰「それじゃあ、そうさせて貰うよ」



それに資料を読んだだけなのだから、流石と云われても困る。




太宰「一杯どうだい?丁度相手を捜していたのだよ」

『誰でも良い癖に。構わないけど、ワインがある処が良い』

太宰「嗚呼、それならお薦めの店がある」





差し出された手を取って、立ち上がった。

壱拾→←捌



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:妃薫。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakaharaty1/  
作成日時:2018年3月12日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。