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「あれ…Aちゃんは？」
「…お嬢様も、Aを見ていないのですね」
「へっ？」
着ぐるみは沈んだ声で答え、えむは喜ぶ手を止めた。彼女は馬鹿ではない。着ぐるみの言葉が何を意味するかすぐに察した。
「Aはお嬢様たちと同時に、行方不明になりました」
「そんなっ……！！」
自分がいない間にそんなことになっていただなんて。
えむは視界が真っ黒に堕ちる思いだった。Aとはセカイで出会っていない。ミク達も、Aがセカイに来たような素振りは見せなかった。
＿＿じゃあ、Aちゃんは今、どこに…
「Aはここにおります、お嬢様」
辺りにシャラ…と明るく心地よい音が響き渡る。
光と共に現れた彼女は、ふらりと体を傾けさせたえむの体をひしと抱きかかえた。えむは沈んでいた顔にまぶしい笑顔を取り戻す。
「Aちゃん！！」「A…！！」
「おぉ、戻ってきたか。Aとはあの化け物のことだったんだな。まあともかく、無事そうでよかっ＿＿ぐはっ！！」
その瞬間司の腹に鉄拳ストレートがかまされ、それをまともに受けた司は体をくの字に曲げたまま、後方遥か先まですっ飛んでいった。凄まじい威力である。「あーあ」と見守る傍観者たち。Aはタガーを持ち出し、目前の敵に差し向けた。
「その呑気な面を二度と見せるんじゃない！ 失せろ卑怯者！」
「待て待て待て！！ だからオレは誘拐犯ではないと言っているだろ！！」
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作成日時：2024年1月18日 22時
