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「じゃあみんなでいくよー！！せーのっ、わんだほーい☆」
「……………は？」
「わんだほーいっ！！」
「いや、おい」
「わんだほ〜〜……」
「あーわかったわかった！わんだほいわんだほいヤッホッホーイ！
で、なんなんだお前！どっから降ってきた！？」
同じような応酬を繰り広げた後、天馬司は明らかに混乱したような様子でお嬢様を睨み付けていた。
返事をしてくれた彼が嬉しかったのか、そのお嬢様はキャッキャとしているが。
「上だよー！あのへん！」
私の方を指差して見上げるお嬢様と、天馬司。
私が手をふると、お嬢様は嬉しそうに振り返してくれる一方、天馬司は真っ青になって震え始めた。
「あのへんって……正気か！？しかも何か被り物をしている不気味なやつが見えるぞ！！こっ、こっちに手を振って…ヒィッ！！…おおお、オレは今幻覚を見ているのか！？」
幻覚とは、まったく失礼な話である。
私は正真正銘の生身の人間だ。
えむお嬢様に微笑んだ後、彼の方をちらりと見てみる。
…身長172cmといったところ、筋肉は一般的な照準より上、ダンスをしているのか体幹もしっかりしているようだ。
背筋をしゃんとのばした堂々とした立ち振舞い。
字が綺麗なところや服はブランドのもので身なりがしっかりしているところ等を見ると、育ちがいいのだろう。
えむお嬢様の言葉に一挙手一投足大袈裟に反応し、反発している。お嬢様への失礼な態度が引っ掛かるのか、コーラルピンクの着ぐるみが段々と機嫌を悪くしているようだ。…あまりうちの兄を怒らせないでやってほしい。
さらさらとした金糸の髪が風にのって、空中にぱっと舞った。蜂蜜を煮詰めたようなヘソナイトガーネットの瞳は真っすぐな光を宿していて、嘘偽りない誠実な印象を与える。
ふむ、『天馬司』はこんなにも分かりやすく驚いたり怯えたりして、予想とは全く異なるタイプだったようだ。無茶苦茶な自己アピール欄のせいで詐欺師かと思っていたが、案外あれは本気で書いたものだったのかもしれない。
足を滑らせないように気を付けながらよいしょよいしょと梯子を降り、屋根から撤退した。
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作成日時：2024年1月18日 22時
