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ただ、私は、お嬢様に「あたしがいるからAちゃんは大丈夫」と思っていただいていなかったことが悲しいのだ。
＿＿お嬢様。Aは、あなたにとって、傍で支えるに足りない人物でしょうか。
私は、少なくともあなたの友人でありたいと思い続けてきましたが、違いますか。私は、あなたの護衛官として職務を全うできていますか。そんな疑問が全身に回って重くなっていき、次第に頭がぐらぐらとしていく。答えは既にお嬢様のお言葉から分かっているだろう、A。
吸い込んだ息が意外にも乾いていて、苦しくなった。胸が引きつるような痛み。私は、私はお嬢様の友人にはなれていなかったらしい。私が図々しくも勝手にそう思っていただけで。
そう自覚した瞬間、変な音を立て鼓動した心臓に、服の上から手を当てる。この痛みはお嬢様に裏切られたからだろうか。いや、違う、あまりにも無力な自分が情けなくて仕方ないからだ。私が、お嬢様のお役に立てない出来損ないだからだ。
今日、久しぶりに僅かながら賑わいを取り戻したワンダーステージ。それを見るお嬢様はとても、幸せそうだった。私一人、ステージ裏にいただけの時には作りたくても、作れなかったお嬢様の笑顔と幸せ。私がどれだけ待っていてもできなかったそれが、会ってたった二日にも満たない彼らが作り出してしまった。
一日の終わりを告げる夕日を見ていると、かつての昔日が思い出される。私の手をその小さな手で握り、微笑みかけた彼女はなんて言ってくれたのだっけ。
＿＿彼らが出てきたから、私は用済みになってしまいますか、お嬢様。
どれだけこき使われてもいい、嫌われてもいい、いつかあなたの役になって見せるから。
だから、見捨てないで。
そんな言葉は口が裂けても言えないだろうな。そう思ったAは微かに自嘲した。
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作成日時：2024年1月18日 22時
