23 幼馴染 ページ23
その後神代類制作のロボットがでてきたり、実はそれは草薙寧々を名乗る一人の少女が遠隔から操作していたり、そのロボットがダンスを披露したり、美声を聴かせたり、ロボットのメンバー追加に天馬司が渋々頷いたりした。
一気に賑やかになったワンダーステージ。ピンクスピネルの美しい瞳を持つ少女は満足げにステージを一瞥し、時間が時間がと急かす従者を連れ、そこを去った。金髪の青年も「む！ 妹とのディナーが待っている！」と騒ぎ、帰っていった。
ステージに残ったのは今日、メンバーになったばかりの青年一名とロボット一台＿＿と、少女一名。夕暮れの光に照らされながら裏から現れた彼女は薄緑のくせ毛をふわり、ふわりと風に揺らしている。先程までこのロボットを操作し、幼馴染同様新メンバー候補としてこのステージに招かれた張本人。
そんな彼女は不服そうに表情を歪ませ＿＿いや、動揺しているようだった。
「……本当にロボットをメンバーに入れるなんて、どうかしてるんじゃないの？」
地面を見ながらぼそぼそと話す寧々は、あんな美しい歌を堂々と歌っていた時とはすっかり違って見える。目線を上げて高身長の幼馴染を見上げると、彼は人好きのしないヴィランのような笑みを浮かべていた。
「いやあ、まったくだね」
けろっと言い捨てる彼に、寧々は呆れ、ため息をつく。閉じた目蓋の下から露わになる美しいアメジストのような瞳は、そこに宿す夕日の光を揺らしていた。どこか懐かしがっているような、それでいて悲しそうな、寂しい光。
「……急にロボットを持ってきて『一緒にショーをやらないか』なんて言ってくる類も、大概どうかしているけどね……」
身を縮こませて、自身を細腕で抱きしめる彼女はぐっと眉間にしわを寄せ、何かを思い出している。憂いげな橙に照らされて落ちた暗い影に沈みこまれそうだ。肩にかかっていた横髪が重力に引かれてするりと落ちていく。
「わたし、ショーはもう……」
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作成日時：2024年1月18日 22時
