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「つまり、類とAは_rui_0624とemerとしての交流がSNSであったと」
「以前、対面で会ったっていうのは？」
へぇ！ そんなこともあるんだな！と笑顔で返す天馬司。いや、これはかなり稀な事例なので、こんなことにはならないと思っていただいて結構だとAは思った。そして、その隣に並ぶ兄はいつの間にか表に出てきて話を聞き出してくる。若干食い気味なのはなんなんだろうか。
「数年ほど前にプライベートで映画を見に行ったことがありまして。その映画が終わった時に、隣の席の人がなにやらぶつぶつ呟いていたんです。気になったので、私も声をかけて話してみたら思った以上に熱があがってしまって、」
「その後カフェにも入って話したんだけど、それでも時間が足りなかったから連絡先を交換したんだよ。それからはずっとSNSを通して連絡をとって＿＿今に至るね」
改めて彼を見ても、雰囲気は変わっているものの当時の面影が見られた。私の視線に気づいたのか、微笑み返される。少し気まずくなって目をそらした。
まとめると、『紫の笛吹き男』は神代類で、神代類は_rui_0624さんだったわけだ。ほえーと微妙な反応をするお嬢様はSNSをあまり使用しないのか、どことなくぼんやりとした印象が浮かんでいる様。
「まさか、いつも紳士的で、演出については人一倍勤勉かつ真面目な_rui_0624さんと、噂されているフェニックスワンダーランドの不審者が同一人物だったとは……」
にわかには信じがたいが、本当のことだ。あまりの認識の差に、Aは肩を少し落とした。一方、えむお嬢様はそんな彼にキラキラと眼を輝かせている。
「ねえねえ類くん！ 昨日のショーの続きはいつやってくれるの？」
頬を真っ赤に染め、幼い子のように輝いた表情のお嬢様に彼も柔らかい笑みを返した。ショーの催促は大歓迎らしい。
「おや、君も見てくれていたんだね。いつか必ず、続きをやると約束しよう」
「本当？ 約束だよ？」
「ああ、もちろんさ」
二人はまるでお菓子をねだる妹と、それを受け入れる兄の様。
一見飄々とした態度の彼だが、私は『ショーを気に入ってくれて嬉しい』という雰囲気を感じた。私は日頃から様々な人を見定めているため、こういう人々の機敏な感情の変化には鋭い方である。どこか物憂い気な雰囲気を纏いながらも、純粋で綺麗な瞳をしている彼は、案外お嬢様に似ているのかもしれない、と思った。
「えへへ！ あたし、鳳えむ！ よろしくね、類くん♪」
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作成日時：2024年1月18日 22時
