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驚いたような顔を見せる神代類。身を乗り出して聞くAに彼は少々引きながらも、否定はしなかった。そこでAは図星なのだと確信する。段々と現実味が帯びてきて、心臓がさらに速く鼓動し始める。
「いや、でも、まじか……」
Aは動揺のあまり、雑になった口調にも気付かない。
＿＿驚いた、こんなところで会うなんて。本当になんという偶然。
私の言う、『_rui_0624』さんはSNS上で交流している、恩師兼友人だ。
様々な方面に対して興味とそれに伴った知識を持っており、とても博識で私が尊敬している人物の一人。中でも、舞台演出についてはずば抜けていて、お嬢様のショーに演出方面で手伝いをしている私にも色んなことを丁寧に教えてくださる、お優しい方だ。一方で、お茶目なところや常人には発想もできないアイデアをぽんぽんと出してくる一面もある。
そして、実際にゲリラショーをしているとも言っていた。
容姿、年齢、名前。この上ないほど彼に近い者はいなかった。
「あぁ、確かに僕は『_rui_0624』という名前のアカウントを使っているけれど、どうしてそれを＿＿」
なぜ自身のSNSアカウントが知られているのか不思議そうな彼。不審げにこちらを探る目つきをしている彼に、私は今自身が被り物をしていることを思い出した。
確か彼は私の顔を知っているはず。会ったのはもうずっと前になるが、顔を見せれば思い出してくれるだろうか。そう思っていぬの頭を脱ごうとしたところを、少し落ち着くようにえむお嬢様に窘められた。いけない、少々興奮しすぎてしまった。
彼も思考の末、思い当たる節があったのだろうか、軽く瞠目している。
「もしかして、君は…emerさんかい？」
「はいっ、そうです！」
どうやら覚えていてくれたらしい。自分でも分かるくらいに口角が上がっていて、あまり他人に表情を読まれたくない私は被り物があって良かったと思う。手を差し出すと、彼も片手を出ししっかりと握ってくれた。
『どうしてこんなところに？』『久しぶりに会えて嬉しい』＿＿胸に様々な思いが駆け巡る中、場に置いて行かれた二人が視界の端に映った。天馬司とお嬢様は、二人仲良く首を傾げている。
「なんだ？ 二人とも知り合いなのか？」
「ほえ？ _rui_0624さんと、emerさんって？」
「あ……すみません、少々失念しておりました。お二人にも、説明いたします」
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作成日時：2024年1月18日 22時
