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Ryota.side
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「じゃあ、飲み物買ってくるね」
そう言ってから、阿部がしばらく帰ってこない
こうやって帰ってくるのをワクワクしてる自分って
阿部のことが好きなのかも…なんつって笑
くだらない話をしてると、扉が開く音がした
あ、帰ってきたかな?
「…どうも、」
俺の目の前に現れたのは、唯一俺の記憶の中にない渡辺翔太さん
心なしか目元が赤くなっているような気がする
「あ、どうも」
「これ、お見舞い」
そう言って渡してきたのは、小さな花の花束
…すごい綺麗だな
「ワスレナグサ、って覚えてる?」
「…草ですか?」
「…あー、覚えてないならいいや」
覚えてるか聞いてきたってことは、前の俺は
覚えてたってことかな?
…ワスレナグサ、後で調べよ
「事故の前日にあったことって覚えてる?」
「…曖昧ですね」
「そっか、…これは話しておくか」
思い返してみると、毎日の記憶が曖昧だ
ぼやっとしてて、なにかが足りない感じで…
もやもやする
「実はさ、俺たち喧嘩したんだよね」
「…喧嘩ですか?」
へー、くらいの気持ちにしかならなかった
記憶のない俺からしてみれば、まるで他人事だったから
「うん、俺が仕事で失敗してイライラしてて
…舘さんに八つ当たりしちゃってさ
だから、舘さんも俺のこと嫌いになっちゃって
記憶のうちから消したのかな」
なんてね、と自虐的に笑う彼
その目にはうっすらと涙が浮かんでいた
「…って、こんな話つまんねえよな
ごめんごめん笑」
もう帰ろうとしてるんだろうな、と空気でわかった
…ああ、もう帰っちゃうのか
なんでこんな寂しい気持ちになるんだろう
「じゃあな」
その後ろ姿は弱々しくて、守ってあげたい
…いや、守らなきゃいけない
そんな気がした
「あの、」
「ん?」
「また来てくれますか?」
そう俺が言うと、驚いたように目を大きく開き
悲しそうに笑った
「涼太が、望んでくれるなら」
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「あれ、舘さんそれは?」
阿部に不意に聞かれた
ワスレナグサ、と答えると、あー!と笑った
「たしか、花言葉が真実の愛と…えーっと
私を忘れないで、だ!」
それを知った時のこの苦しくなった想いは
今の俺にとって、初めての恋の始まりだった
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Spark - 綿さん» リクエストありがとうございます!今はリクエストが溜まっているので更新は大分後になってしまうかもしれませんが、必ず書かせていただきます!これからもよろしくお願いします (2020年11月13日 20時) (レス) id: 0384f6c364 (このIDを非表示/違反報告)
綿 - 悲劇的なnbさんのお話めちゃくちゃ好きです!今回更新されたのがどんな展開になるのかわからないのですが、もし救われないのであれば、一度とことん悲しい目に遭った後幸せになるお話が読みたいです。mmnb、もしくはnb右が良いです。 (2020年11月13日 0時) (レス) id: cc6a337569 (このIDを非表示/違反報告)
Spark - 紫夏さん» コメントありがとうございます!作者自身書いてて不安だったのですが、そう言ってくださるとすごい嬉しいです!作者は話のネタがあまりないので、リクエストはいつでもお待ちしてます。これからもよろしくお願いします! (2020年10月25日 23時) (レス) id: 0384f6c364 (このIDを非表示/違反報告)
紫夏 - 書いて頂きありがとうございました!思っていたより長くて、読んでいて凄く楽しかったです。次回作も楽しみにしてます!もし、よろしければまたリクエストさせてください!これからも頑張ってください。応援してます。 (2020年10月25日 21時) (レス) id: c21d0ca7dc (このIDを非表示/違反報告)
Spark - るむぽさん» リクエストありがとうございます!作者自身あべさくは推しペアの一つなので、リクエストが来てとっても嬉しいです!書かせていただきますので、これからもよろしくお願いします。 (2020年10月24日 18時) (レス) id: 0384f6c364 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Spark | 作者ホームページ:http://keyaki
作成日時:2020年10月4日 20時