彼女が僕に振り向かない！

その手の温もりに縋る（リア友よりリクエスト!!） ページ6

乱歩サイド

『好きって言って好きって言って他に何もいらないから』


…え?何言ってるの？

好きって言えばいいの?


『君の声が好きなんです…?
あ、乱歩、もしかして知らない?』


あ、歌ってただけ…?


乱「…悪い?
だってそんなの、知ってても役に立たないじゃない。」


その歌があるのは知ってるよ。

ただ二人でいるときに不意に言われたら、その気になるじゃんか。

ただでさえ二人なのに緊張してるんだよ?この僕が。

君と一緒だと気が狂うんだよね。

嬉しそうに笑って駄菓子食べる君が可愛いんだよ。


『…あ、猫?』


そういって幸せそうに猫を撫でる君が可愛いんだよ。

あんまり感情の起伏を出さない君の表情を読み取れるのが僕だけでいいとか思ってるんだよ。

そんな君がほかの人たちより僕の前で表情をこぼしてくれるのが嬉しくて仕方ないんだよ。

……そっと君の手を取る。


『え……?
乱歩…?』

乱「わっ手ェ冷たいっ！
猫さわってたくせに!!」

『ごめん、私冷え症だから…。』


ひんやりしたその手すらあったかいように思えて。


乱「ねぇ、知ってるかい?
手が冷たいと、心はあったかいらしいよ。」

『…?乱歩は優しいよ…?』


流石だね。物わかりがいい。

反対も考えられるのを瞬時に理解するなんて。


乱「僕はいいの!
Aの心があったかいって言いたいの!」


なんか勢いに任せて凄いこと言っちゃった気がする。

僕ってAのことになると莫迦になるの?


『…珍しい。
乱歩がそんなの信じるなんて。』


少し目を丸くしながら君が言う。

でも、今この場で感じてるんだから、信じるに決まってる。

だんだんあったかくなってきた君の手を引く。


乱「うん！まあね！
其れじゃあ帰ろうか、社長が心配してるだろうし！」

『うん。』


そういってくすりと笑う君が好き。


『いこっか、乱歩』


名前を呼ぶのも君だけがいい。

少し冷えた手を温めるのも僕だけがいい。

茜色に染まった街を背に、ふとそんなことを思った。

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