リンドウを捧げる【轟焦凍】 (ページ12)

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10．▽ ページ12

「ねね！来週らしいね雄英体育祭！！」

「熱い戦いが見れるんスよ！楽しみっス！自分、熱いの好きなんで！！」

「わかるよ！！ライバル達の熱き戦い！！燃えるにゃー！！」

ラーメンを完食したらしい友人は学校中の中でもかなり話題になっている、話を持ち出してきた。

毎年の恒例である雄英体育祭

少し前にニュースになった襲撃を受けたとされるヒーローの卵のクラス

この2つが今のトップな話題で間違いないだろう。

自身も食べ終えたお皿を見下ろしながら食い入るように答える夜嵐の声へと聞き耳を立てる。

視力を低下させないようにと飲み始めて数年ほどの付き合いになるブルーベリージュースの紙パックを握りしめる。

甘さと酸味が口の中で混ざり合う。

なぜか、雄英高校と聞くだけ轟焦凍の赤色と白色が脳裏に見え隠れする。

冷ややかなオッドアイがこちらへ向けられるその視線を思い出す。

心臓がなぜか大きな音を立てる。

理解できないと思考が呟く。

さっさと、忘れてしまえばいいことなのに彼につけられた噛み跡が記憶から離れてくれない。

はっきりと嫌悪感を感じるのに気になってしまう矛盾が発生している。

とりあえず、忘れよう。
今は、ヒーローになるためにただやるべきことをすればいい。

そう言い聞かせ、無理矢理に蓋をする。

「望瞬さんも雄英体育祭見るんスか？！」

「Aも、一緒に見よーよ！！3人で」

脳内で考え事をしている間に夜嵐と間宮との間では、雄英体育祭を一緒に見るという話になっていた。

食堂内お昼時を過ぎたためか人が少なく感じる。

体格のいい男と獣耳を動かす猫からのダブル視線が私を突き刺す。

「…、そういうの1人で見たい派だから」

私から吐き出された言葉に期待を裏切られたと言わんばかりの表情を浮かべる2人。

それに追い打ちをかけるように

「第一、異性との不純な関係は禁止でしょ。校則は守りなさい」

渇いた言葉を吐き捨て席を立った。

紙パックのゴミと食器類を手に持ち、歩き出す。

後方で2人の騒がしい声が響いたように感じたが気にしないでおこう。