リンドウを捧げる【轟焦凍】 (ページ11)

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09．▽ ページ11

「A、食堂いかにゃーい？」

お昼の時刻を告げるチャイムか鳴り響く。
その音を聞くと、クラス中が一気に騒がしくなり始める。

先程までたくさん居た人数が一気に教室内から出ていくのが目に映る。

目の前の席に座る友人もこちらを振り返りながら食堂へ行こうと促す。

間宮千芦、個性、猫。
猫みたいなことならだいたい出来る。

薄い茶色の短めの髪の毛の間から覗く、猫としての耳と人としての耳、両方兼ね揃えているのが特徴的。

常に猫の獣耳と尻尾が生えているのだとか。

ぼんやりとその姿を見つめていると、

ささっと、身支度を済ませ財布を手に持った猫さんが早く早くとこちらを急かしてくるのが視界に映った。

「少し待って準備する」

時計の針がお昼の休憩時間に突入していることを伝える。
廊下の方から生徒達の喋り声が響く。
3階という高さから見渡せる、街並み。

全てが私の日常を動かす一つ。

机の上に散らかしていたノート類を机の中にしまい込み財布といつも欠かさず飲んでいるブルーベリージュースの紙パックを鞄から取り出す。

それらを手に持ち、教室の出入口で尻尾を動かしながら待つ友人の後を追った。

「にゃにゃにゃーん！！ラーメンやで！！」

ヒーロー科だけではなく普通科やサポート科など他学科の人も一斉にお昼時になると集う大人気の食堂

雄英高校には劣るらしいがどこが？と自分は思うほど良い所だと感じる。

というわけで、なんとか空いていた4人がけの席を確保してご満悦に湯気の立つラーメンへと箸を伸ばす間宮を横目に自身も唐揚げ定食へと向き直る。

「あついっっ！！！」

熱めに作られたラーメンに発狂している猫舌の友人。

そんな彼女の独り言に言葉を返すことはせず淡々と自分の昼食を口に運ぶ。

いつも、そう。
猫が1人喋り続け、私がそれを聞くだけのお昼時間。
たまに言葉を返すことはあるが基本的には、彼女の独り言が多い

はずなのだが、

「間宮さん、個性が猫だから猫舌なんスか！？」

「うん！そうにゃんよー」

ババン！！！
と、効果音がつきそうな男、夜嵐イナサがなぜか目の前に座る間宮の隣に座りながらうどんを食べていた。

「…なんで、夜嵐がいるの」

半分野郎といい、この熱血男といい

最近、起きている理解し難い現状に頭がおかしくなりそうである。