【文スト】歴代最年少幹部ですけど。

32　差し出された手 ページ35

『仕事…ですか?』


「はい。」


ニッコリ笑うドストさん。腕の力が抜けた時を見計らって後ろに下がる。


そして壁際にもたれ、開いた窓から入ってくる風の冷たさで自分を落ち着かせようとする。
この人は私に何を求めてるの…？


不意に外を見る。
その大きな窓から見える夜景は本当にキレイ。

でも今はそんな事言ってられない。

この龍を止めないと。


『……っ』


飛んでくるナイフ。


「逃げちゃダメですよ…?」


もう一本飛んでくるナイフを右に避ける。


ふと浮く体。


『やばっ…』


落ちる体。


ここは最上階だ。間違いなく死ぬ。


ドストさんに差し出された手を掴む余裕も無く、重力に従って落ちていく体。


だめだ。




死ぬ。




『うわっあ!?』


すると、地面まであと5mほどの所で急に体がふわりと浮きそのままふわふわと地面に降りた。


『え?え?え…』


「お前は馬鹿か!!!何してんだよ!!」


『ちゅ…うや…?』


「俺が居なかッたら死んでたぞ!!!」


『…………』



思いっきり中也に抱きつく。


「うおッ…はァ…よしよし。泣くな泣くな。」


『泣いてな…い。』


中也の手が頭に乗る。

こんな事してる場合じゃない事くらい知ってる。でも…でも。



『もうちょっとだけ…』

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