404ともう一人 (２)【MIU404】

10 ページ38

．



　二年前の話。…ついこの間、麦ちゃんが警察に情報提供していた。カジノの場所は摘発されて、沢山の人が捕まった。エトリは捕まったのかな、このときの私はそこまで知らなかった。

　でも、麦ちゃんが保育士として働けて、昔の生活に戻れるかもしれないと少し期待して。このままいけば大丈夫かもしれない、そう思っていた。そんなとき、麦ちゃんからの電話。





『もしもし、何かあっ、

【助けて、A…！】

ど、どうしたの？』





　助けを求める彼女の声だった。





【エトリが、エトリが…】


『エ、トリ…、うん。すぐ行く、待ってて』





　彼女の口から出た "エトリ" という名前。まだあいつは捕まっていないんだと、そのとき知った。私は麦ちゃんが無事であることを願って急いで彼女の元へ走った。




．




『麦ちゃん！』


｢…！A、｣





　恐怖で涙を流して震える彼女をぎゅっと抱きしめた。





『ごめん、ごめんね』


｢…、｣





　何にも力になれなくて。しかもまだエトリは捕まってないだなんて。何も出来ない自分の無力さに涙を流した。





｢羽野さん！…A！｣


『桔梗さん…！』





　そのとき桔梗さんが来た。麦ちゃんは桔梗さんにも連絡を入れていたようだった。桔梗さんは私たち二人を抱きしめた。





｢怪我は…？｣




｢エトリ…捕まってないんですか…！警察は騙したんですか、私をっ…、


　必ず逮捕するって言ったのに…！！｣





　麦ちゃんは涙ながらに訴えた。



．

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す