404ともう一人 (２)【MIU404】 (ページ29)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:141,777 hit

ミリオンダラー･ガールページ29

．

｢もう一本！｣

『陣馬さん飲むねえ』

｢この前入れたばっかでしょ｣

　陣馬さんと伊吹先輩と志摩さんと私の四人で飲みに来ています。陣馬さんはもう一本飲みました。ペースがはやい。

｢ねえ、｣

｢あれから二本も入れた｣

『ん〜〜そんな気はしてた』

　陣馬さんはもう一本貰いにカウンターに行く。よく飲むなあと思いながら貰いに行く陣馬さんの背中を少し見つめた。

｢ねえ志摩、Aちゃん､ねえ｣

｢俺にとってここは第三の我が家！｣

｢ねえ｣

｢第三？｣

｢一は機捜車、二は分駐所、三は…ここ｣

｢自宅は無いんですか自宅は！｣

｢仕事に魂を捧げた男の、成れの果てよ｣

『うわあ…、』

｢ねえねえ三人とも！｣

『ん？』

｢何だよ｣

｢さっきの話の続きしよ｣

｢さっき？｣

｢隊長の話。子供がいるって｣

｢辛いなー玉ねぎ｣

『あ、それ私も食べたい』

｢おう、…ほら｣

『あざす』

｢ねえ！ねえ、隊長の旦那は？｣

　先輩は相当気になるらしい。

｢ねえ、聞いて！！部署は、階級は？隊長より上？下？｣

｢相手は警察官じゃない｣

｢え？｣

｢飲食店経営者｣

｢まじで～？どんなジャンル？｣

｢知らねーよ、俺も行ったことないんだから｣

『私行ったことある、一回だけ』

｢え、行きたい行きたい！｣

『もう無い！』

｢無いのか…｣

｢ご主人、事故で亡くなったんだ｣

　陣馬さんが言った。私たちの席だけの空気が少ししんみりした。

｢亡くなってから妊娠に気づいて、桔梗は産んで、一人で育てた｣

｢…で、子供は？誰が見てんの？｣

｢妹みたいな人が見てる｣

『妹…、確かに妹みたいな人だ』

．