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涙が枯れるほどに泣いた。
人ってこんなに泣けるものなのかと自分でも驚くくらい、あの日は自宅へ帰ってからも泣いた。
重い瞼が更に重くなって、翌日汐恩くんに笑われたけど。
廊下ですれ違ってもお互いに目を合わそうとしないし、顔はもうお別れをしたあの日以来まともに見ていない。
景瑚とすれ違う度に私の大好きな香りがして頭がくらくらする。
抱き締めて、景瑚の香りに包まれたいなんて思ったりして、何考えてるんだってひとつ溜息をついた。
私は放課後、また外の景色を見るようになった。
景瑚を見るためではない。私は景瑚と出会う前から、この教室から見える景色がとても好きだったんだ。
こうやって窓の外の景色を見ていると、たまに汐恩くんと目が合う。
汐恩くんは目を細めて笑う。私もそれに返すと嬉しそうにしてくれるから、こっちまで嬉しくなる。
そしてすぐにダンス部の部長さん(多分)に怒られる汐恩くん。可愛いなあ、なんて笑った。
見慣れた彼の姿がちらっと見えたところで、私は外に向けていた視線を教室の中へと移した。机の上に置かれた日誌。
『すーっかり忘れてた…』
先生から「なるべく早く持ってこい」と言われていたのを今まで忘れていた。まだ放課後の掃除が終わって30分も経っていないし、今からでも間に合うだろう。
雑に書いて、職員室へ持っていく。"今日はちゃんと持ってきたんだな"と言われた。いつも忘れて机の中に置いたまま帰っちゃうんだよね。
教室に戻り、少しだけ暇を潰そうと机に伏せて携帯を見る。
重くなる瞼を持ち上げようとせず、私は夢の中に入って行った。
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目が覚めると、外は暗くなりかけていた。
帰ろうとして立ち上がると私の後ろに何かが落ちる。
不思議に思って振り向くと、床に落ちていたのは肩にかけられていたであろうジャージ。
『この、香り……。』
持ち上げた瞬間、大好きな香りに包まれる。
名前を確認するまでもなかった。この大好きな香りは…一人しかいない。
どうして？頭は疑問でいっぱいになった。
お別れしたのに、どうしてまだ優しくしてくれるんだろう。あの人にとって、私はもう過去の人な筈なのに。
いつまでも優しくされると、忘れられないじゃない。
ジャージを綺麗に畳んで、鞄の中に入れる。どうやって返そう…。
悩みながら帰路についた。
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翠(プロフ) - ゆきゃんさん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉まで…ありがとうございます（ ; ; ）納得のいく表現が出来るまで割と時間がかかってしまうことが多く、更新が滞ってしまい申し訳ない限りです…これからも頑張りますのでよろしくお願い致します！ (2020年5月26日 3時) (
レス) id: 73f5e212d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきゃん(プロフ) - 癖のない綺麗な表現と切ないストーリー全部が本当に素敵で大好きです...更新頑張ってください！応援しています(T_T) (2020年5月26日 0時) (レス) id: cae8245bd0 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - ぬっとさん» ぬっと様 コメントありがとうございます！なるべく切なめに…を心掛けて書いているのでそう思って頂けて嬉しいです…！更新がんばります、ありがとうございます(；＿；) (2020年5月19日 21時) (レス) id: 5e41b2ff0b (このIDを非表示/違反報告)
ぬっと(プロフ) - 切なくて胸が痛くなります（ ; ; ）続き楽しみにしてます！！ (2020年5月19日 2時) (レス) id: 9da01bf80f (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - Ohanaさん» Ohana様 コメントありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです、、！頑張ります、本当にありがとうございます( ; ; ) (2020年5月17日 2時) (レス) id: 5e41b2ff0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すい(翠) | 作成日時：2020年5月14日 0時
