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インハイ決勝日。
ほんまは初戦から行こう思てたけど、よりによって図書室の大掃除を頼まれて行けなかった。
一応文芸部であり、部室の掃除はマストというわけで。
ちなみに全部終わるまで3日もかかった。←
『ここ、ですか…?』
「ありがとぉね。」
お婆ちゃんの手を取り、ゆっくりと階段を降りて応援席へ着く。
最悪の状況を考えて、同じ高校の人にバレないために今日はちょっとだけ軽めの変装。
黒のキャップを深く被り、コンタクトの代わりに黒縁眼鏡。
うん、すれ違ってもバレてない大丈夫だ。
ちらっと視線を変えると、吹奏楽のド派手な演奏。
あんなうるさい応援を背中にしてよく試合出来るなぁ、、
「Aちゃん帽子とらんの?」
『えっ?あ〜…とったら髪の毛ぼさってするしいいや。』
「そうか。信ちゃんおるかなぁ、」
『えっと…あ、いましたよ。ほら、あそこのベンチの横…』
そっと北さんを指さすと、視線に気づいたのか彼はスッと振り返り思わず目が合った。
「あ、信ちゃん気づいたみたい。」
『そ、…みたいですね、』
やばっ、思わず指さしてもーた…後で謝っとこ。
北さんはぱくぱくと何か話している。私に言ってるのかな?
「(ちゃんと、見ててな。)」
『…!』
そう言ってる気がして私はゆっくりと頷いた。
ふわっと優しく微笑んで、彼は私からコートへと視線を戻す。
「ふふ、信ちゃん嬉しそうやったなぁ。」
『えっ、』
「信ちゃん昨日の夜な、Aにたくさんええとこ見せんねんって張り切ってたんよ。」
北さんが……?
どくん、と心臓が跳ねる音がしたと同時に試合開始のホイッスルが鳴った。
.
侑の完璧なトスが治の手にドンピシャ。
『(うん、上手い。)』
完璧な一歩、角度、速さ。
彼に勝るセッターは今後現れるのか。
おったら侑を超えてほしいなぁ。
『あ、…』
選手交代。
4のプラカードを持った背番号1。
『(北さんや、)』
初めて見る、試合での北さんのプレー。
無意識に目を見開き、手をぎゅっと力強く握る。
周りの音が無になる。
丁寧で、無駄な動きがないレシーブ。
双子のミスを予想していたかのようにボールを繋ぐ。
天才ではない。
だけど、北さんの存在がチームの雰囲気を正していると直ぐにわかった。
『(かっこええ、)』
誰よりも貴方がかっこよく、輝いて見えた。
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時