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北side
ぽつぽつと話し出すAに、今日の帰り道の彼女の姿を思い出す。
俺が何か言うたところできっと変わらん。
せやから、聞いたんねん。
俺しかお前の抱え込んどるもん、分け合いっこ出来ひんやろ。
『あんたらと血繋がっとらんかったら、今何しとったかなって治に言うてもうたんです。』
そしたら治めっちゃ怒って、と彼女は言った。
「それで、感情任せに言うつもりやなかったことまで言うてしもたわけやな。」
『…ッ、だから、謝りたくて…』
「せやな。」
『ただ、何て言えばええかわかりません。ごめんて口にすんのは簡単なことやないですか。
それに何か許して欲しいとかそんなんやなくて…でも、』
「後悔しとる?」
『……え?』
「治に言うたこと後悔しとるんやろ?」
『…ッ、はい…』
「ほなごめんて謝ればええ。」
『でも、そんな一言なんて…』
「なら、他に何て言う?」
そう聞くと、Aは黙り込んで悔しそうにわかりません、と答えた。
「確かにごめんなさいって口にするのは誰でも出来るわ。
けどな、ただ言うだけなんと心を込めて言うのとは全然ちゃうで。
ほんまにごめんと思とるならそれはちゃんと言葉と共に相手に伝わんねん。」
『……』
「お前ならもうわかっとるやろ?大丈夫や。ちゃんと治に伝わるよ。」
『…治に、謝ってきます。ちゃんと、伝えたいから。』
「おん。Aなら出来るで。」
Aの声は凛とした芯のある声に戻っていた。
.
Aside
『………ふぅ、』
双子の部屋の前に立って、早数分。
いや、何を緊張しとんねん。ノックするだけやん。
バシッと頬を叩き、ぎゅっと左手を握る力を入れて、右手でコンコンとドアをノックした。
『………』
が、何も反応がない。
(……まぁ、有り得るわな。)
侑が出ることはまずないし、治はきっと気まずいから出たくないんやろうな。
はぁ、しゃあない。出直すか…
踵を返して、部屋に戻ろうとしたらドアが静かに開く音。
「あれ、A…?」
振り返ると、治がひょこっと現れていた。
『えっ、あっ…治、えっと、そのっ…』
治と目が合った途端、汗が一気に出てくるのがわかって背中が気持ち悪い。
『あのっ、』
「部屋行こか。」
『えっ?』
さっきのことがまるで無かったかのように
治の声は何故か優しかった。
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時