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北 side



『でも、…段々バレーしとる意味がわからんくなって…。



侑と治に負けへんて思いながらも、心のどこかでバレーが好きって気持ちはあった。



やけど、…何か気がつけば賞とるために、誰かに褒められるためにバレーしとったみたいに思うようなったんです。



意味わからん精神でバレーするのが怖くなって、そのまま辞めたんかなって今は思います。』





途中鼻声になってたから、泣いとるんかと思ったけど



悲しいとか以前に、Aの瞳は「虚無」を表していた。






『あーもう、ほんま情けない話聞かせて申し訳ないです。』


「A、」




こんな時でも、俺に気をつかって謝るAはほんまにええ子やな。



はは、と顔を引き攣らせながら笑みを零す彼女に胸がきゅっと締まった。





「辛かったんやな。」



『え、いやいや。ゆうて仲良い友達にはちょっと打ち明けてたんで。』


何事もないかのように、淡々と話すAに

ほんまに侑と治の妹なんかって疑ってしまう。


何となくAの生活を知りたくて、気がつけば言葉に出していた。




「A。」



『?なんですか?』



「双子とはまだ喧嘩中か。」



『喧嘩中というか、勝手に私が避けとる感じです。別に仲直りしようとも思ってませんし。』



「ほな家帰ってから何しとんの?」



『めっちゃ唐突ですね。えっと課題と勉強して…音楽聞きながら本読んだり…


んでご飯食べて風呂入って寝てます。まぁほぼご飯も風呂も深夜とかですけど。』



「深夜?」



『12時半とか1時とかですね。でも夜は基本カロリーメイトとかでカバーしてます。』



深夜?いくら何でも遅すぎる。


しかもカロリーメイト??ご飯ちゃうやん。


有り得へん。




「めっちゃ不健康やん。」



『極力兄ちゃんらと鉢合わせしたくないというか…、というか部屋から出るのが辛いっていうか…』



「A、それ完全に鬱やで。引きこもりやん。」



『えっ!?嘘っ…』




相当驚いたのか、肩をガクンと落とすAに思わずため息が出る。



こりゃ侑と治に言うても効果は無いやろうなぁ。



………せや。







『A、帰り送ったるから家の人に聞いて欲しいんやけど。』



「え?多分許可おりるんで大丈夫ですけど、何でですか?」




「今日はウチで晩飯食ってき。」



『…………はい?』





.

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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時

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