名前。【北 信介】

Prolog ページ2

別に小さい頃から仲が悪かったわけじゃない。



同じ頃に、3人でバレーを始めてそこそこ仲良く遊んでいた。




小学生から少しずつ変わり始めていたのかな。




でも1番変わったのは中学生だった。




侑も治もすごく上手くて強くなってて


侑なんてベストセッター賞とかとってたよね。


治も侑とセットって感じだから


2人で1つのみたいに、強くなって有名になって。





私も2人と同じ血が流れてるから


負けず嫌いも良いところで


2人よりもたくさん練習して


勉強も一生懸命して文武両道だったはず。


だけど、2人と同じ位置に立つことは無かった。


いつも必ず2人が上にいて。





中学最後の試合で、小さいメダルだけど


初めて賞を貰った時は


とても嬉しかった。



早くお母さんに見せようと脱いだ靴を散らかしたままリビングに入った時



侑は嬉しそうにお母さんと話してた。



私のよりうんと大きな盾を抱えて。



治も盾じゃなかったけど、メダルと賞状を持っていた。



どうやら全国の舞台で沢山活躍したんだろう



机には、2人が表紙の月バリが置いてあった。






わかってる。

男子と女子じゃ個人差が違う。


それでも、同じ頃にバレーを始めて

こんなに差が出来るとは思ってなかったから。






『……しょーもな、』


自分に腹が立って、そそくさと部屋に戻って


貰ったばかりの小さな症状を


ビリビリに破いて


メダルと共にゴミ箱にほおり投げた。




勿論次の日お母さんにばれて怒られた。


しかも侑と治の前で。




『どうせ言ったって兄ちゃんらには敵わんし。』


その言葉に侑と治は怒った。


あの時の侑の言葉は今でも覚えてる。




「お前みたいな中途半端と一緒にすんなや。」


言い返したかった。


本気でやっとるって。


勉強ほったらかしにしてバレー一筋でやっとる2人とは違うって。


でも、言えなかった。


わかりきってたことやった。





結局私は


ただのポンコツやったんや。






私は部屋の中にあるバレーのポスターや雑誌を紐で縛って、ゴミに出した。お気に入りのバボちゃんのストラップも捨てた。


小学生の頃、ユニフォーム姿の3人で撮った写真だけは捨てられなかった。





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高校生になって、クラスメートからは双子についてばっか聞かれる。


私のことなんか一も聞きやしない。


でも、もう慣れてきた。



そんな時に



私はあなたと出会った






ねぇ、北さん。






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