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土曜日の午前11時。
白のポロシャツとモディブルブルーのスカートが風に揺られて靡く中、「北」と書かれた表札を見て深呼吸する。
『……よし、』
恐る恐るインターホンを鳴らすと、おばあちゃんが出てきた。
北さんは部活のため、夕方頃には帰ってくるみたい。
「あ、こんにちはAちゃん。待っとったで。」
『こんにちはお婆ちゃん。今日はお邪魔します。』
「はい、どうぞぉ。足元気ぃつけてな。」
玄関に入り、靴を端の方で揃える。
やっぱり日本家屋って落ち着くなぁ…
「Aちゃん、お昼何食べたい?」
『えっ!?そんなお昼なんて…』
「ええのええの、遠慮せんといて。」
『ほな…お言葉に甘えて。』
トントン、と規則正しいリズムで具材を切る。包丁の音が心地良い。
「手伝ってもろて助かるわぁ。ありがとうね。」
『いえ、この位させて下さい。』
「Aちゃんはええお嫁さんなるやろなぁ。」
『えっ、お嫁!?』
いきなり結婚の話をされて(してない)びっくりする。
お婆ちゃんはクスクスと笑いながら、具材を鍋に入れた。
「うちはいつでも歓迎しとるで。信ちゃん喜ぶやろなぁ。」
『えっ、えっ…!?』
北さんの、よ、嫁…??
その瞬間ぶわっと顔が熱くなる。
「ふふ、Aちゃん可愛ええなぁ。」
『もう〜お婆ちゃん…揶揄うにも程がありますよ…』
でも、もし北さんと結婚なんてしたら…
"A、ただいま。"
『……!うわぁぁあ……』
「Aちゃん顔真っ赤やで?」
『お婆ちゃんがお嫁さんなんて言うからぁ…』
「ふふ。」
包丁を置いて、思わず両手を頬に当てる。
やけに頬が熱く感じた。
.
「『いただきます。』」
両手を合わせてそう呟く。
お箸を持って、おかずを食べる。
『!美味しい…』
「それAちゃんが切った具材入っとるで。」
え、嘘…何や恥ずかしいなぁ…
「Aちゃん、信ちゃん学校ではどんな感じ?」
『毎日会うわけやないんですけど、皆からは尊敬されとると思います。ちゃんと丁寧に物事に取り組んではるし。』
「そうかぁ。Aちゃんは本が好きなんやっけ?」
『はい。小さい頃から本は好きで、今文芸部に所属しとります。
それである日信介さんが図書館に来られた時に知り
「そうなんやねぇ。
あ、せや…Aちゃんにええもん見せたる。」
ええもん…?
.
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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時