脆い少女の独占欲

踊らされる私　byもな ページ8

会議を進める内に、私は不可解な点がある事に気づいた。



木下さんは嬉しそうなのだ。




誰かが質問する度に。




ノートを書く時に口角を上げているのも、私は見逃さない。


普通、ストーカーなんてされたら、もっと怖いんじゃないの？

誰かに話す事も恐れる位に、辛いんじゃないの？




これじゃあまるで……









全て、木下さんの陰謀の様な気がするじゃない。



もし、そうだとしたら？



木下さんの目的は何？



……私からKZの皆を奪う事？



頭に浮かんだその考えが、木下さんの一言により現実味を帯びた。



「KZの皆は、本当に優しいんだね！私やっぱり、KZに入れて良かった！」


皆の頬が緩むのを見て、私は手が震えた。



どうしてよ。



どうして、どうして。




皆、気づいてよ。



私が感じている苦しさに。


木下さんから感じる恐怖に。




「よし、決めたぞ！」


若武が意気込むようにそう言うと、椅子から立ち上がって皆の視線を集めた。


「一日に交代で、夏鈴の護衛をするんだ。」



え…。



私が絶句していると、嬉しそうに微笑む木下さん。



「え、本当に？皆が守ってくれたら安心できるよ！ありがとう！」



「ん、名案だね。」

「俺も賛成。」

「若武にしてはいい案だな。」

「交代制だとやりやすいし、平等だから良いね。」

「賛成。」



次々と皆が賛成の声をあげるのを聞いて、私はまた笑顔を貼り付けた。



「私も良いと思う、仲間を守る事は大切だもんね。」





……もう、嫌だ。








まるで、木下さんの舞台の上で踊らされている様な気分だ。

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