＿私は希望を捨てた

思いを届け　byあき ページ9

あぁ、なんて温かい涙。

私は何かを心で感じた。


この涙は、“辛い”からじゃない。



“嬉しい”から流れるんだ。



私はまだ生きている。

感情が少しある間に、私が生きている間に伝えよう。

私の気持ちを。

感情を。



どうやって伝えよう……。

言葉で言うのは、何か嫌だな……。

正直に言えなさそう……。


そうだ……！

手紙で伝えよう！

手紙なら、正直に言える気がする。

私が今まで思ってきたこと。

感じてきたこと。

みんなに対する感謝。




なんでだろう。

心と体が温かい。

まるで、包まれてるみたい。


お母さん……。

心の中で呟いた。

まるで母に抱きしめられてるみたい……。

母が生きてた頃を思い出す。


なんで私だけ生き残ってしまったの……？

なぜ、母だけ死んでしまったの……？

私が死んだほうが良かっただろうに……。



そう考えた瞬間、冷たい涙が流れる。

これはきっと“悲しい”から。

私の中から“希望(きぼう)“が消えていく。

そんなときだった。



私の心の中で声がする。

とても温かい声。


？？「希望(のぞみ)、どんな時も希望(きぼう)を忘れてはダメよ。」


あれ……？

この声、私は知っている……。

いつも、私を見守ってくれた母の声みたい……。


そうだ、これは母の声だ……！

昔、母がよく私に言ってくれた言葉だ。

希望(きぼう)……。

そうだよね……。

忘れてはダメ。


しっかり前を向かなきゃね。

下ばっかり向いてても、進めない。



私は、みんなに対する“お別れ”の手紙を書き始めた。

冷たい涙を拭って、温かい涙を流しながら。

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