俺がいる…… *続き* ページ32
[彩side]
なんで、生きているんだろう。
KZのみんなにこんな目に遭わされて、生きている意味があるのかな。
狂った私の脳は、全てKZが仕組んだ事故となっていた。
生きがいに裏切られた私に、何が残るの?
あーあ、もう疲れた。
いいや、KZを失った世界なんて要らない。
私は誰にも気付かれないように、病院の屋上の鍵を奪った。
物陰に少しずつ隠れて、やっとの思いで手に入れたの。
受付の人数が少なくて助かったよ。
私は手の上にある鍵を強く握りしめる。
手にその跡が残るくらい。
そして、鍵を使って、屋上の扉を開けた。
流れ込んできた冷たい風は、私の汚れたものを洗い流してくれた。
けれど、その風だけでは、私の泥は落としきれなかったみたい。
私は、屋上のせいぜい2メートルのフェンスをよじ登る。
あぁ、綺麗な景色。
私たちの街はこんなに美しいものだったんだね。
朝焼けか、はたまた夕焼けか。
どちらにしろ、輝いていた太陽。
さて、あとはこのフェンスから降りて、飛ぶだけだ。
鳥みたいに大きく思い切り飛ぼう。
両手を広げて、ジャンプもしよう。
私の人生に終止符を付けるんだ。
身体を傾けて、向こう側の50cmあるか、ないかの狭い地面に足をつけようとした。
そのあと、深呼吸して飛ぶんだ。
でも、その瞬間、バタっと大きな音が後ろで聞こえたの。
振り返ると、それは砂原だった。
息を切らして、扉を開きながら、それをとびきり強く抑えていた。
「立花!」
どうしたの、砂原?
そんなに怖い顔をして。
……って、目の前の光景を見たら、みんなそうなるよね。
だって、人が死のうとしているんだもの。
砂原は迷子の子犬のような目で訴えた。
「立花、逝くな。
そっちに逝かないでくれ。
俺を置いていくなよ。」
ごめんね、砂原。
それはもう無理なの。
私は砂原を安心させるために微笑む。
「私、KZのせいで、こんな目に遭ったんだ。
KZのせいなんだ。
生きがいを失った私に残るものはない。」
けれど、砂原は首を横に振った。
「これはKZのせいなんかじゃない。」
もう、うるさいなぁ。
「それは、一番立花が分かっているんじゃないか?」
うるさいってば。
「立花には俺がいる。」
うるさいって言ってるんだけど。
「だから、こっちに戻れよ。」
「もうやめて!!」
気付いた時には砂原を思い切り拒絶していた。
43人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃ〜 - 私、ヤンデレ知らなかったけど、コレ見たら好きになった! (5月13日 21時) (レス) @page45 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ〜 - ブラックkz大好きだから嬉しい! (2023年5月6日 10時) (レス) id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - 他のヤンデレの小説増えるといいなー【ぬしさんがあまりにもすごいヤンデレ小説を書いたからヤンデレKZもっとみたくなった人】 (2022年10月15日 20時) (レス) @page45 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - ヤンデレ俺も好きー (2022年10月15日 20時) (レス) @page44 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 作品を見てブラックに目覚めました…!素敵なお話ありがとうございます!! (2022年7月2日 21時) (レス) @page27 id: c6a98f33d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2020年10月17日 12時