検索窓
今日:8 hit、昨日:14 hit、合計:48,623 hit

一緒だよ…… *切ない美彩リクエスト* ページ25

*設定*


美彩は付き合っている。

けれど、アーヤと翼はつりあわないと非難の声が……。




[彩side]


屋上の柵を越えようとした。

すると、突然後ろから扉の開いた大きな音がする。



「アーヤっ!」

振り返ると、息を切らした翼だ。


なんで……ここに居るの?




翼は目を張り、握り拳を作りながら、私に近づき、手を差し伸ばした。

「何をしているの。
 帰るよ、アーヤ。」




でも、私は、その手を掴めない。



私は、今までのことを、全てを吐き出すように涙声で言った。

「翼、分かっているでしょ。
 私と翼のお付き合いを良くないと思っている人が多いことを。」



翼は切なそうに顔を歪める。

あなたと私は付き合っちゃいけないんだよ。



「私、何度も嫌がらせを受けてきた。
 翼が考えられないほどね。


 それだけなら良かったの。

 翼と付き合うためだから我慢出来た。


 でも、最近、翼まで嫌がらせを受けるようになってる。
 翼は隠していたけど、気づいちゃったんだ。


 そんなの嫌。
 だから、もう楽にさせて。」



私は涙いっぱいの目で必死に笑顔を作る。



あなただけでも幸せになって。

私のために自分を犠牲にしないで。




翼は私の頬に触れて、目の涙を親指でぬぐってくれた。


「だったら、俺も一緒に逝かせてよ。
 アーヤが居ない世界なんて要らない。

 二人、あの世で幸せな家庭を築かない?」



翼の言葉に大きく心が揺れる。

「本当?良いの?
 もう、誰にも会えなくなっちゃうんだよ?」



翼は微笑を浮かべ、頷いた。

「アーヤさえ居れば良い。」



優しすぎるよ、翼は。

別の涙が溢れそうになる中、私は翼の手を取った。


「一緒に逝こう。
 誰にも文句を言われないところまで逃げよう。

 私も翼さえ居れば、他にはもう何も要らない。」









私たちは屋上の柵を越えて、ギリギリのところで立つ。

涼しい風が吹き、太陽は夕焼け色に輝いていた。




私たちのこと、応援してくれているのかな。

不意にそんなことを思う。




私と翼は、互いに強く手を握り、見つめ合った。


「あの世に逝ったら、私を見つけてね。」

「アーヤならどこに居たって分かるよ。
 たとえ、この鼻がなくたって。」



夕焼けが私たちの頬を赤く染まらせる。



「これからはずっと一緒だよ。」

「うん、いつまでもね。」



私たちは、怖気なんて抱えないまま、幸せいっぱいな笑顔で、一歩を踏み出した。

一緒だよ…… *作者の言葉*→←消えないで…… *作者の言葉*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にゃ〜 - 私、ヤンデレ知らなかったけど、コレ見たら好きになった! (5月13日 21時) (レス) @page45 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ〜 - ブラックkz大好きだから嬉しい! (2023年5月6日 10時) (レス) id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - 他のヤンデレの小説増えるといいなー【ぬしさんがあまりにもすごいヤンデレ小説を書いたからヤンデレKZもっとみたくなった人】 (2022年10月15日 20時) (レス) @page45 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - ヤンデレ俺も好きー (2022年10月15日 20時) (レス) @page44 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 作品を見てブラックに目覚めました…!素敵なお話ありがとうございます!! (2022年7月2日 21時) (レス) @page27 id: c6a98f33d7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp  
作成日時:2020年10月17日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。