一緒だよ…… *切ない美彩リクエスト* ページ25
*設定*
美彩は付き合っている。
けれど、アーヤと翼はつりあわないと非難の声が……。
[彩side]
屋上の柵を越えようとした。
すると、突然後ろから扉の開いた大きな音がする。
「アーヤっ!」
振り返ると、息を切らした翼だ。
なんで……ここに居るの?
翼は目を張り、握り拳を作りながら、私に近づき、手を差し伸ばした。
「何をしているの。
帰るよ、アーヤ。」
でも、私は、その手を掴めない。
私は、今までのことを、全てを吐き出すように涙声で言った。
「翼、分かっているでしょ。
私と翼のお付き合いを良くないと思っている人が多いことを。」
翼は切なそうに顔を歪める。
あなたと私は付き合っちゃいけないんだよ。
「私、何度も嫌がらせを受けてきた。
翼が考えられないほどね。
それだけなら良かったの。
翼と付き合うためだから我慢出来た。
でも、最近、翼まで嫌がらせを受けるようになってる。
翼は隠していたけど、気づいちゃったんだ。
そんなの嫌。
だから、もう楽にさせて。」
私は涙いっぱいの目で必死に笑顔を作る。
あなただけでも幸せになって。
私のために自分を犠牲にしないで。
翼は私の頬に触れて、目の涙を親指でぬぐってくれた。
「だったら、俺も一緒に逝かせてよ。
アーヤが居ない世界なんて要らない。
二人、あの世で幸せな家庭を築かない?」
翼の言葉に大きく心が揺れる。
「本当?良いの?
もう、誰にも会えなくなっちゃうんだよ?」
翼は微笑を浮かべ、頷いた。
「アーヤさえ居れば良い。」
優しすぎるよ、翼は。
別の涙が溢れそうになる中、私は翼の手を取った。
「一緒に逝こう。
誰にも文句を言われないところまで逃げよう。
私も翼さえ居れば、他にはもう何も要らない。」
*
私たちは屋上の柵を越えて、ギリギリのところで立つ。
涼しい風が吹き、太陽は夕焼け色に輝いていた。
私たちのこと、応援してくれているのかな。
不意にそんなことを思う。
私と翼は、互いに強く手を握り、見つめ合った。
「あの世に逝ったら、私を見つけてね。」
「アーヤならどこに居たって分かるよ。
たとえ、この鼻がなくたって。」
夕焼けが私たちの頬を赤く染まらせる。
「これからはずっと一緒だよ。」
「うん、いつまでもね。」
私たちは、怖気なんて抱えないまま、幸せいっぱいな笑顔で、一歩を踏み出した。
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にゃ〜 - 私、ヤンデレ知らなかったけど、コレ見たら好きになった! (5月13日 21時) (レス) @page45 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ〜 - ブラックkz大好きだから嬉しい! (2023年5月6日 10時) (レス) id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - 他のヤンデレの小説増えるといいなー【ぬしさんがあまりにもすごいヤンデレ小説を書いたからヤンデレKZもっとみたくなった人】 (2022年10月15日 20時) (レス) @page45 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - ヤンデレ俺も好きー (2022年10月15日 20時) (レス) @page44 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 作品を見てブラックに目覚めました…!素敵なお話ありがとうございます!! (2022年7月2日 21時) (レス) @page27 id: c6a98f33d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2020年10月17日 12時