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「……A、だいじょ」

「___もう大丈夫だから、後ろで待っててください」



心配の言葉を投げ掛けようとしたが、言い終わる前にぐっぐっと背中を押されて、後ろの黒板前に立たされる。もしかしたらAはこのことも、伊沢さん達に知られたくなかったかもしれない。

だからこそ俺に……あまり深入りしてこない俺に、授業参観のことを打ち明けたのかも、しれない。



「あの子のご両親、去年交通事故で亡くなったらしいわよ」

「あらそうなの。じゃああの人は親代わり?」

「じゃないかしら。でも前の人はもっと背の高い人だったわよ」

「じゃあ、たらい回しにされてるのかしら」

「このご時世で子供を引き取るなんて、難しいものねぇ」



チャイムが鳴り響き、教室内や外でわいわいと楽しげに話していた子供達が続々と席に着き始める。その影響か辺りは先程とは打って変わったように静かになり、僅かな話し声すらも耳に届いてしまった。隣から刺さるのは、憐れむような視線。

……いっそのこと、さっきの喧騒でこの会話も全部、かき消してくれたら良かったのに。

髪色を隠すために被ってきた帽子を、被り直す。一応一日で落ちる軽いやつで黒に染めてきたが、まぁある意味、表情をみられない点では良かったのかもしれない。



「それでは、池上くんからどうぞ」

「はい。僕の大切な人は___」



先生のちょっとした説明を挟み、とうとう発表が始まる。Aは伊沢だから三番だ。八神のままだったらめっちゃ後ろだったんだろうな、と子供らしい発表を聞きながら思う。


次、伊沢さん。と先生が言い、思わず脳裏に伊沢拓司の方が出てくる。
そうか、学校だとAも伊沢さん呼びなのか。なんというか、周りが皆AかAちゃんとしか呼ばないので、かなり違和感がある。

先生の声にAが返事をして立ち上がり、作文を持ち上げる。ふわっと窓から入り込んできた風が、優しく彼女の髪を揺らした。



Aが、息を吸う。それに合わせて華奢な肩が、僅かに上がった。



「……私の大切な人は、伊沢さんです。
 伊沢さんは私を引き取ってくれたおじさんで、私の父親でも、兄弟でもありません。
 家系図を指で順番に追っていかないと分からなくなるくらい、遠い遠い親戚のおじさんです。
 両親が交通事故で他界するまで、存在すら知らなかった、おじさんです。」






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白菜(プロフ) - 凛花さん» 気づくのが遅くなってしまってすみません!イラスト気づいて頂けましたか……!ご想像通りの八神ちゃんが描けていたみたいで良かったです!! (2020年8月26日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
凛花 - イラスト…イラストが…!!もう八神ちゃんですね…可愛い…私の想像した八神ちゃんだ…尊い…(語彙力低下) (2020年8月14日 23時) (レス) id: 0e33e6ca02 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - るるあ。さん» ご指摘ありがとうございます!キーボードが押せてなかったのかもしれません…早急に直させて頂きました!るるあさんも体調管理には十分にお気をつけて! (2020年8月8日 19時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
るるあ。 - ページ48の後半の「ひしひし」の部分、「ひしひ」になってます…いつも更新ありがとうございます!このご時世なので、お身体には十分お気をつけくださいね! (2020年8月8日 15時) (レス) id: 807ddee245 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 藍知さん» Sgさんですよ…ほれほれ……() (2020年8月8日 13時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年8月2日 12時

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