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弍* ページ3

普「神楽坂…さん。今日も残ってたんだ。」

放課後、本を読んでいると、ふと頭上から声が聞こえた。

目を向けると昨日の放課後にあった顔が私を見下ろしていた。


「…あら、柚木くん。…私になにか御用でも?」

普「あぁ、いや…対した用じゃないんだけど…。あはは、ちょっと神楽坂さんとお話できないかなって…」


照れくさそうに笑う柚木くんの耳が赤くなっていて、勇気を出して私に話しかけたのだと分かった。


話しかけてくれたのだから、無下にするのも失礼ね。


そう思い読んでいた本をパタンと閉じると目の前の人物に目を向ける。


「えぇ、構わないわよ。なにか私に話したいことでも?」


私と話が出来るとわかった柚木くんは、嬉しそうに前の席の椅子に座り、私の方に向き直る。

普「別になにか話題があるわけじゃないけど…神楽坂さんっていつも放課後残ってるから気になって」



「…あら、理由が知りたいのかしら?」


イタズラっ子のような笑みを浮かべ言う。すると柚木くんは焦ったように言葉を紡ぐ。


普「あっ!べ、別に言いたくないならいいんだけど!…た、ただ…」


そこまで言うともごもごと口ごもってしまった。


静かに彼の次の言葉を待っていると、小さな声でこう呟いた。


普「神楽坂さんのこと…もっと…知りたくて…」



私の事を…ね。


そんなこと。知ってどうするのかしら。
他人の事なんてどうでもいいことこの上ない。


でも、俯き加減にそう呟く柚木くんの顔は赤く火照っていた。



「…そうね。

…いいわよ。」

普「…え?」


「但し、条件があるわ。」

普「条件…?」


キョトンとした顔のまま首を傾げる柚木くんにビッ、と人差し指を指す。


「柚木くん。貴方のことも教えて頂戴。」



普「……へ?」


「私だけなんて、割に合わないと思わない?
私のことを知りたいなら、あなた事も教えて。」


キーンコーンカーンコーン,,

下校時間を告げるチャイムが鳴る。

いけない。早く帰らなければ、門を閉められてしまう。


何も言わない柚木くんをよそに帰り支度をする。


鞄を持ち、さて帰ろうとすると
グイッと腕を引かれた。



「…柚木くん。早く帰らないと門閉められるわよ。」


普「…わかった」


「……?」


普「俺の事を教えれば、神楽坂さんのことも教えてくれるんだよね?」


「…えぇ、二言はないわよ。」

普「じゃあ…約束。」

参*→←壱*



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神埜(プロフ) - ふわさん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年9月18日 23時) (レス) id: 18603f0b2d (このIDを非表示/違反報告)
ふわ - 神作品の予感しかしないですわ (2019年9月15日 21時) (レス) id: 52abb0a881 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神埜 | 作成日時:2019年9月15日 18時

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