story4 ページ6
目を覚ますと、時計はいつもよりだいぶ遅い時間を指していた
「……ねむ」
昨日、キヨと会って疲れたからか、随分寝てしまった
寝坊と言っても、いつもが早いだけなのでそんなに急ぐ必要がある訳でもない
普通に朝食を食べて準備した
電車に乗り込んで、大学へと向かう
電車の振動に揺られていると、私を呼ぶ声がした
？「Aさん！」
「あ、ヒラくん」
彼はヒラくん
同じ大学で、たまたま私が彼の落とした財布を拾ったことで仲良くなった
ヒ「Aさんがこの時間って珍しいですね」
「少し寝坊した」
ヒ「そうなんですか…あ、そういえば光樹先輩にまたAさんのこと言われたんですよ！」
「なんて？」
ヒラくんは光樹の中学時代の先輩と後輩で、結構仲が良かったらしい
今でも時々会うそうだ
ヒ「Aったらいつになっても彼氏作らないんだよ、ヒラくんあの子もらってやってよ、って」
「光樹、そればっかりだね」
ヒラくんから光樹の話が出た時は、決まってこの話だ
ヒ「本当ですよね。光樹先輩に会ったと思ったらすぐAさんの話ですよ」
「彼氏がいる余裕じゃない？」
ヒ「ああ、光樹先輩の彼氏で、Aさんの幼馴染っていう凄い人ですよね」
フジと私と光樹が出会ったのが高校だから、ヒラくんはフジのことを知らない
「別に凄くはないと思うけど」
ヒ「えっと、フジさん…でしたっけ？」
「うん、フジ。今度機会が会ったら会わせてあげる」
ヒ「わー超会いたいです！」
喜ぶヒラくんを、少しだけ可愛いと思う
ヒ「あ、Aさん着きましたよ」
「うん、降りよっか」
電車を降りて、ヒラくんと大学に向かう
教室に入ると、比較的仲のいい友達が話しかけてきた
友「ねえねえ、ヒラくんと一緒に来てたけどどういうこと！？ついにAも恋なの！？」
「いや、電車で会ったから一緒に来ただけ」
友「なんだ、つまんないの」
私とヒラくんに何を求めているというのだろうか
ヒラくんはモテる
光樹によると中学のときもそうだったらしい
みんな、噂好きなんだな、と熟々思う
私なんかと噂になったら、ヒラくんが可哀想だ
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作者名：チョリーン x他1人 | 作成日時：2016年6月30日 23時
