story10 ページ12
お風呂から上がって脱衣場を出ると、キヨがとびついてきた
そのままキヨが私の体を通り抜ける
ふわっとした冷気に包まれた
なんか、キヨが本当にいるんだなって思う
キ「抱きつけたらいいのになー」
「無理でしょ。そんなことされたら警察に突き出す」
キ「お前も無理なこと言ってるけどな」
あひゃひゃひゃ、と笑うキヨ
随分特徴的で懐かしい笑い方だ
……ん？懐かしい？
何言ってんだ、私は
キ「なあなあ、Aってさ、今までどんな幽霊と会ってきたんだ？」
「んー…幼稚園の頃の方は怨霊とかにも会ったりしたかな」
皆と遊んでいるときに怨霊に追いかけ回された嫌な記憶がある
あ、でもそのお陰で足はめっちゃ速い
キ「今は？」
「中学生からは全くない。ていうか、霊が見える事自体少なくなってきてるかも」
キ「それってさ、霊感薄まってきてるってことじゃね？」
「霊感が薄まってきてる…？そんなことあるの？」
キ「あるんじゃねーの？」
適当に言っただけか
でもまあ、霊感が無くなったとしても何も困らないだろうし…
むしろ無くなってほしいかも
なくなったら、私も普通の人生遅れるんじゃないかな
普通に結婚して、普通に子供産んで、普通に歳取って、普通に死んで
結婚の時点で私には無理かな
だって好きになった人今まで1人もいないし…
あ、なんか光樹はすごくヒラくん押してくるけど
ヒラくんはなんていうか…弟っぽいんだよなー
異性として見れないっていうか
キ「Aサーン？」
「え、なに？」
キ「……1人で考え込んでたから、俺にかまって欲しいなーって」
拗ねたように言うキヨ
「いや、可愛くないよ？」
キ「は！？べ、べつに狙ってねえよ！！」
うそ
本当はかわいいって思ってしまったけど、血迷っただけだと思うから内緒にしておこう
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作者名：チョリーン x他1人 | 作成日時：2016年6月30日 23時
