いっぱい食べる君が好き【男主】 【ナナ】 ページ29
少しだけ椅子を近付けて僕の手を握った。
少しだけ期待して肩に力が入ってしまう。
でも、僕と彼女の手の間には、何かが挟まっていた。見れば、
「私の焼きそばパン分けてあげる!食べてみて、びっくりするくらい美味しいの!」
僕の心に花弁が舞ったような気がした。
ああ、こんなちいさなことでおとされる自分ってチョロいなって心底思う。
さっきまで握られていた手はまだ温かい。
僕から離れた手は再び次のパンへと伸びていた。また、幸せそうに食べている。
何でも一口目が一番美味しいと聞くが、香月さんはいつでも一口目みたいだ。
そんな無邪気な姿に実は心を奪われていたのかもしれない。
『(ほんっと僕チョロい。)』
自分のこの気持ちに気付いて、まさか自分を見てくれてるなんて思ってもなかった。
パンを食べる振りをして視線だけ、香月さんに移す。
やっぱりパンはなくなっていた。
いっぱい食べる君が好き、というが、少し意味が分かった気がする。
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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時