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開けるべからずの間 【ジュリウス】 ページ23

「いいかい、ここには絶対に入ってはいけないよ」

幼い頃の記憶だ。父は右手を私の肩にのせ、左手を指す。
指された方にはドアがひとつあった。古く茶色のドアに何も感じなかった。

『では何故そのままにするの?』

壊してしまえばいいのに、といっても、返答はなかった。
ねえ、と肩に乗った手に触れようとすると、もうそこには誰も居なかった。
そんな不思議な体験からはや五年。雰囲気は変わらず、不気味だ。
そのせいか、召し使いもここを通らない。おかげで、このドアの暇潰し相手は私だ。

____ここには絶対に入ってはいけないよ

突然父の声が頭のなかで響く。知らない間にドアに触れていた。
ここまできたなら開けてみよう。
これは私の意思ではない、でも私の声だ。
知らない私は目を閉じて取っ手を捻っていた。


「お嬢様」

先まで手に伝っていた感触はない。
温かく柔らかいものが私の手を包み、目も優しく覆われていた。
『ジュリウス、』
「ご無事で何よりです。ですが、警告をお忘れですか」
幼い頃の好奇心と畏怖が甦る。
再びドアに触れると、素早くその手を掴まれた。

「まるでお嬢様を呼んでいるようだ、このドアは」

ドアと床の僅かな隙間からは闇がのぞく。少しだけその闇に命が宿ったように見えた。
(おいでA…)

好奇心は完全な恐怖に変わった。

ジュリウスの腕をつかんで扉に背を向ける。
お父様やお母様にご叱咤されるほどの大股で逃げた。
少しでも離れろと、別の別の私が言っている。

「お嬢様、怖がりすぎでは」
『そう?』
「街まで来ました。」

温かな陽の光に人の賑やかな声。忙しそうにくるくる回る様子は人形のダンスだ。
ハッとしてジュリウスを見ると、形のいい口を押さえて可笑しそうに笑っている。

『私、怖がってないって私、。』

明らかに信じてないこの目。
いつか、いつか、開かずの間をあけてそこに入れてやる!!

開けるべからずの間 【アナザージュリウス】→←いつもと違う君 【ギル】



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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