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人外同盟 《新人》2 ページ13

肩の痛みが回復したところで再び縛られた腕で支点を作り足を投げ出した。


鈍い音がした。誰かが叫んでいる。
目の前には自分を傷付けた人間、手から離れた拳銃と
良い生地で作られた外套を羽織った、これは人間だろうか。


新参者は右手を人間の前へ差し出し、冷たくいい放つ。



「少しやりすぎだろう、格下が」

一瞬の出来事、人間の腕は切り離されて地へ落ちる。
先までの余裕を忘れるほど哭いて、ついには倒れた。
倒れた人間、新参者、交互に見る。一体彼は何者だろう。

いやいやこの髪の長さだと彼女かもしれない。


残る人間が一斉に乱射する。耳を壊すくらいの爆音だが、今じゃ平気だ。
むしろ、聞こえないように思える。

新参者はありとあらゆる弾を弾き返している。
時々敵を外して返しているのはフェイントだろうか、
ついに残弾が無くなった人間は怖れを浮かべ、冷や汗をかいていた。


慈悲もなく、頭と胴体を割く。

高貴さを感じる声とすっきりまとめた髪、着くずしのない服からして位の高い人間か。



「驚かせてすまない。どうもお前はこちら側の種族らしい。」


振り向いた新参者に驚いた。
身長の割には顔が美しく、まつ毛も長い。色白な肌は西洋人のようだ。


途端に今までの傷が目を覚ましたように痛み出す、
ゾンビのはずなのに元人間の身体は面白い。


しかし、彼の言うこちら側とは一体何を指すのだろう。
不思議に思って顔を上げるとすぐ近くに新参者の手があった。

自分の黒い髪を額が見えるまでかきあげ、自分を見る。
目が合ったのは言うまでもない。


「ゾンビであるのに綺麗な瞳をしている」
「そういえばまだ名前を言ってなかったな」
「ジュリウス ヴィスコンティ、今日よりお前の家族となる」


開いた口から僅かに見えた八重歯に納得した。
そこだけが鋭く発達している。それと今も香る鉄の匂い。


『吸、血鬼』
「そうだ、他に猫娘、人狼、魔女、妖怪、そして死神。」

言い終わる頃には一人が六人に増えていた。
個性的な印象ばかりで中には良家の子女のようなのもいた。


縛られていた腕はいつの間にか自由になっていた。
ジュリウス、そう名乗った男性が自分に手を差しのばす。
触れればしっかりと握られて、立ち上がれた。


暗いこの部屋に風が舞い込む。


死してなお、この世界が輝いて見えた。



「ようこそ、人外同盟へ。」

僕の、新しい家族。

髪を結ぶ 【ジュリウス】→←人外同盟 《新人》



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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