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価値 【ジュリウス】 ページ15

私は人間だ。人間として、生まれてきたはずだ。



「白い肌に大きな瞳!」「まるでお人形さんのようね」
「これはぜひとも道具に欲しいですな」「美しいわぁ!」


聞こえる言葉は自分の存在を再度問わせるようなものだった。

集中して当てられたスポットライトが背中を焦がすように熱い。
髪を掴まれて強引に顔を上げられると、何も言えなくなった。


まるで鮮度のいい野菜を探るようなごく普通の週末のショッピングセンターの目だ。
商品を選ぶ目。手にとって見ることは出来ないから皆、目付きが鋭い。

次に番号札が上げられる。
これはなんだ。五千万はなんの数字だ、どんどん値は高くなる。
時間が経つにつれ、札が少なくなっている。背後の男性の声が響く。


まさか自分がオークションに懸けられてるなんて思ってなかった。
小さな島国、それもこの国の治安上、身が売られるなんて想像したことはなかった。


買い手が決まればどうなるんだろう、
強制労働、人殺しにされるのかな、そんな再教育とか。

今までの自分を消されるのが怖かった。
でも、逃げられないのなんて分かっている。
髪を掴んだ男性の手、縛られた四肢、体を痺れさせた薬の味。それらが証明してる。


札の数はついに両手の指におさまった。
こんな私に一円でも価値がつくのか、ついた瞬間、もう“自分”、“私”なんて言えないんだろう。

もう、聞きたくない。鼓膜を無くしたいとも思った。

「五十二番の方、降りられますか?」
「わたくし、あの子欲しかったのに!」
「いやいや、オークションに日本人とは珍しい....」
「レアは日本人、何処で手に入れたのかしら」

日本人はレア、とか、手に入れた、とか。
人間は平等なはずだ。なのに、オークションがあるからそんな思想も壊される。

番号札を上げているのは、おじいさんや、ドレスで着飾ったおばさん、
他には、裏の世界で儲けてそうな中年男性。もっといる。
彼らの豊かな金銭は、もっと、他のことに使えばいいのに。


もう一度、下を見て項垂れた。

背後の男性が再び髪を掴んだ。

価値 【ジュリウス】2→←髪を結ぶ 【ジュリウス】



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ルーネスガルディン - 死神のシャルロットだ。、、、此処は? (2016年6月13日 12時) (レス) id: e3be47b955 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白い屈み | 作成日時:2015年8月18日 15時

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