12.再開 ページ38
勘違いであってくれ‥と祈りながら、ゆっくりと身体の向きを変える。
祈りは虚しく、因縁の相手である上司が、仁王立ちで佇んていた。
ほんのひとまたぎ程の距離で、細かい部分まではっきりと見える。
ただ、目に見えない厚い壁が私達を遮っている感じがした。
「そんな鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔しないでよ。久しぶりの再開じゃない。」
感情の読めない声。
口元は笑っているが、目が笑っていなかった。
「そうですね‥ですが、私は急いでいるんです。貴方との再開に油を売っている暇はありません。」
背を向け、思いっきり地面を蹴る。
「そう‥それなら、全力で妨害するまでよ。」
ヒュン、と宙を裂くような音がし、本能的にその場に屈み込む。
パサリと音がし、目の前の地面に、私のちぎれた髪と、彼女の羽根が落ちた。
嫌な予感が頭をかすめ、後ろを勢いよく振り返る。
彼女のカッターのような羽根が、目と鼻の先まで迫ってきていた。
間一髪で避けたが、生きた心地がしない。
あとカンマ1秒でも遅れていれば、私の顔を切り裂いていただろう。
「早く行くんじゃなかったの?そんなんだから、のろまを卒業できないのよ。」
流石にカチンんと来た。
「ニッ！！」
シャノワールが鋭く鳴く。
それを聞いて、少し冷静さを取り戻した。
こんな挑発に乗ってしまってはいけない。
深く息を吸って、吐き出す。
思考を巡らせる。
もしここで逃げた場合、追われながら攻撃を避け続けなければならない。
そうなると、体力があまり持たない私は、途中でダウンしてしまうだろう。
それに___さっき攻撃で使われていた羽根は、間違いなく彼女のものだ。
1度引き抜いた私なら分かるが、それにはかなりの激痛が伴う。
つまり、彼女はこの戦闘にそれほど本気なんだ。
…いくら怨みを抱いているとはいえ、これを受けないのはかなり失礼では？
「で、どうするの？仮にあんたが逃げたとしても、私は追いかけてあんたを殺すわ。絶対に。」
考えはまとまった。
ここで彼女を、ぶっ潰す。
「もう、貴方からは逃げません。ここで全てを終わらせます。」
剣を出し、痛くなるぐらいに握りしめる。
眼の前の彼女を強く睨んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこのおもち。(プロフ) - あいすくりぃむとちょこれぃとさん» コメントありがとうございます!!🙇♀️凄く分かります！✨やっぱりヤンデレっていいですよね！確かになかなか見ませんよね💭そう言って頂けると凄くモチベーションに繋がります！ありがとうございます！ (8月18日 6時) (
レス) id: 16a0a29691 (このIDを非表示/違反報告)
あいすくりぃむとちょこれぃと(プロフ) - B様からほんのり香るヤンデレ臭からしか得られない栄養ってありますよね(真顔)B様の小説はあんまり見かけないので嬉しいです！無理しない程度にがんばってくださいね (8月18日 2時) (レス) id: b2ed5b6349 (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» 最近来れてなくて本当にすいません！熱出したり旅行行ったり(は？)ごめんなさい、ホント！！この鬼の子めっちゃカッコいいですね！性格イケメン…っ！夢主ちゃんも謙虚で優しくていい子だよなぁ〜。ファイト！ちょこさんも更新頑張れ〜！！ (8月15日 11時) (レス) @page32 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこのおもち。(プロフ) - 桜都葉さん» コメントありがとうございます!悪魔らしく‥!確かにそうですね〜!!4人っていうのは私も怪しいと思ってましたwどちらかというと二人と二体ですよね!まあ、ブラックも夢主ちゃんもただの悪魔よりもっと親密な関係として見ている (8月2日 0時) (レス) id: 502985db7d (このIDを非表示/違反報告)
桜都葉(プロフ) - ちょこのおもち。さん» お！魔界だ！！夢主ちゃんも堕天したからか、かなり悪魔らしくなってきましたね！なんだろう、積極的になってきたというか…。こんな夢主ちゃんもいいですね〜！神Oし…！！なんて素敵なネーミングなんでしょう！4人(人…？)とも頑張れ〜！！ (8月2日 0時) (レス) @page28 id: 16abf5aa00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちょこのおもち。 | 作成日時：2023年4月23日 1時
