続 冨岡先生は既婚者らしい

彼女の受難 前編 ページ10

※内容が内容なので注意です

私が何度も''義勇くんは初めはピュアで可愛かった(かなり盛っている表現)''と言っているが、それはあながち間違いではない。



突然だが、私は義勇くんが初めての相手ではない、が。
義勇くんにとって私はどうやら初めての女性だったらしく、手を繋ぐのも、付き合って１ヶ月経過してからやっとという超ロングスピードでお付き合いをしていたのだ。



そんな不器用さがなんだかむず痒くて、つられて初めてです〜なんて反応をしてしまうが、悲しいことに私は初めてではないのだ。



それなりに高校生の頃から恋愛していたので、慣れていることや、慣れていないこと、とか、そりゃあるわけで、けれど、いつだって付き合いたてのむず痒くてきゅんとする感覚は抜けていない、私は存外ピュアな存在らしい。



まぁ、遅かれ早かれ、やってくる時が来るもので。



初めて義勇くんの家に招かれた日、一人暮らしの男性という感じがにじみ出ているその場所で2人でご飯を作って、テレビを見て、ゴロゴロしていた時だ。


「A」
「んー？義勇くんどうしたの？」
「先に風呂に入ってくる」
「あー、お、おう」


若干目を逸らされた、あいにくその場で察しができないほどの純粋さは持ち合わせていないもので
初めてではないのに、義勇くんがお風呂に入っている間。ずっとずっとドキドキしてしまっていた。


テレビの内容なんて、見たところで入ってくるはずがない、頭の中にはもんもんとした葛藤と不安である。


……私が、初めてではなかったら、やっぱり引かれてしまうだろうか

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