続 冨岡先生は既婚者らしい

パン屋の少年は夢を見る 後編 ページ9

次に彼女を見た時、彼女はいつものふわふわとした長い髪をバッサリと切っており
……華奢な薬指には今まで見たことがなかったシルバーリングがはめられていて



嫌でも彼女の背景に誰かが居ることを知った。



パンの個数を数える口が震えていなかったことを祈る
レジの会計も、間違っていなかっだろうか？



「…………あ、髪、切ったんですね」
「はい、切っちゃいました」



薬指の相手はどんな人ですか？
なんて、一番気になる質問を口に出すことは出来なかった。



「とっても似合ってます！」
「ありがとうございます」



また、にこりと微笑まれた。



あぁ、その笑顔の奥を知っている人がいることがどうしようもなく、羨ましくて。



お店を去ったあと、誰も居なくなった店内で1人、机にぐったりとうなだれる。



そりゃぁ、そうだよなぁ、彼氏の1人や2人、いてもおかしくない訳で
年上だと言うことも知っていたし、俺が頑張ったところで、彼女の眼中には映らなかったのだろう。



「はぁ〜……」



だからせめて、この思いを勝手に思い出にすることを許してください。


机にそのままじっとうずくまって、目を閉じると、あの人がどこの誰かもわからない男の人と手を組んで幸せそうに歩いている夢を見て


誰にも聞こえないように、貴方に伝えたかった言葉を口にした



「すきです」



あわよくば、いつもの笑顔でありがとうと答えて欲しかったなぁ、なんて。

_____

炭治郎くんの初恋のお話。
他のキャラのお話も描きたいけど、中々出すのが難しい(´-`)

続編に入ってからやや評価が低めなので頑張っています…けど、豆腐メンタルなのでやられてます……(正直かよ)

彼女の受難 前編→←パン屋の少年は夢を見る 前編

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