冨岡先生は既婚者らしい

2.5>昼食のアクシデント ページ7

「おっかえり〜〜〜！義勇くん！今日のお弁当はどうだった……ぐぇっ」
「なんだあれは」


食器を洗っていると玄関から義勇くんの帰ってくる音が聞こえ、ルンルン気分で感想を求めると、いきなり後ろからタックルを決められる。


泡だらけの手で抵抗することも出来ないのでそのままにしていると、義勇くんはゆるゆると後ろから抱きしめる姿勢へと変えていく。


「義勇くん、喜ぶかなって」
「どんな思考回路になったらそうなるんだ」


偶然雑誌で見かけた、俗に言うキャラ弁を真似て作ってみたのだが、どうやらうちの旦那さんには不評だったようで、後ろから不満なオーラが漂ってくる。


「生徒に見られた」
「ぷっ、可愛いじゃん」


長い髪が頬にあたって擽ったい。私の肩に顎を乗せ、耳元で「でも、味は悪くなかった」と呟かれる。


「あの、今更ながらなんですけど義勇さん」
「なんだ？」
「今日はやけにスキンシップが激しいですね？」


帰ってきて即後ろから抱きしめられるのは、義勇さんの行動パターンとして非常に珍しいのでは？

しかも手つきがやけに生々しくなってきてるし。


「まぁ、仕返しみたいなもんだ」
「仕返しの仕方が随分とやらしいよ」
「男だからな」


耳にふっと息をふきかけてくる、ビックリして声を上げると、義勇さんの手が身体をなぞるように上に上がってきた。


手を濯いで、彼の手を払い除けようと軽く叩く。


「ちょっと、義勇くーん」
「……風呂に行ってくる」


私の顔を向かせてちゅっと軽いキスをして、続きは後からするからなとでも言いたげな表情でお風呂に向かう彼を見て。


ゆるゆるとしゃがみ込んだ。

なんなんだあの人！なんだあの人！



「そういう所がズルいんだぞ〜〜〜！」

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