14.1>よーいドン!で走り出す ページ35
私がこの学校に就任してから、もう早い事で半年が経っていた。
暖かな日差しはいつの間にか冷たい秋の風へと移り変わり、外の景色も、空気も、何もかもが変わって行っている。
そして変わったことがもう一つある。
「おはよう」
「おはようございます!冨岡先生」
そう、この人だ、冨岡先生だ。
どんな風の吹き回しか知らんが、最近……?正しくは3ヶ月ほど前?詳しいことは思い出せないが、そのくらい前からやたらめったら私に構ってくるようになった気がする。
気のせいかな〜とも思ったのだが、あれほど最初はかわされていた挨拶を進んでしてきてくれるようになったのが1番わかりやすい変化だろう。
まぁ、表情筋は相変わらず1つも変わらないので何を考えているかはハッキリと読み取れないのだが。
「はぁ…………」
「溜息なんてついて、どうしました?」
「うっ!?!わ!?し、しのぶちゃん!?」
全く気配を感じなかった。凛として美人な彼女はふふっと笑いながら私を見つめる、可愛い。
「これ、水野先生にお願いしてもいいでしょうか?」
「ん?なにこれ?」
しのぶちゃんから1枚のプリントを渡される、太字で【借り物競走お題】と書いてある。
察するに一週間後の体育祭で使うものなのだろう。
「お題を書いて提出しろと言われたんですけど、思い浮かばなくて」
「お題、お題ねぇ」
借り物競争って言ったらアレなんじゃない?好きな人ってお題で部活の先輩が後輩の腕を引いてゴールするあれなんじゃないのか?
「好きな人とかじゃない?」
「冨岡先生とかですか?」
「ぶっへ!?」
「あらあら、図星でした?」
丁度考えていたとか、下手な事を言ってしまえばさらに墓穴を掘ってしまう気がするので、なんとも言えないで黙ってしまう。
「……冨岡先生はただの先輩ですよ」
「そうですか?」
「そうです」
私が言うとしのぶちゃんは意味ありげに笑う。
「まぁ、いいんですけどね、でも水野先生」
「ん?」
「水野先生、気づいてるかわからないですけど、お顔が真っ赤ですよ?」
「………………は」
「ふふっ、りんごみたいで可愛いです」
そう、また笑った。
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莉子(プロフ) - キャラクターってどうやって作ってるんですか?おしえてほしいです。お願いします! (2020年6月6日 15時) (レス) id: 7a18dbf6fa (このIDを非表示/違反報告)
あまざけ(プロフ) - むさん» ありがとうございます!直しました(;;) (2019年10月5日 0時) (レス) id: d945b5bbc4 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 細かいですが一話の最後ら辺、富岡になってますよ〜 (2019年10月4日 16時) (レス) id: 9659f35e4f (このIDを非表示/違反報告)
あまざけ(プロフ) - sunoさん» ありがとうございます(;;)続編も更新頑張りたいと思います! (2019年10月3日 17時) (レス) id: d945b5bbc4 (このIDを非表示/違反報告)
suno - なぜ高評価は1回だけなんだ…(怒)! (2019年9月30日 15時) (レス) id: 6ecd2c2ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまざけ | 作成日時:2019年9月14日 12時