6.似てないし違う、けど似てる ページ6
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似てなんてない、ちっとも似てないのに、似てる。
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互いに互いの性格なんて、その人には似てなんてなかった。むしろ正反対だってことしか分かってない。
だけど似ている、どこがって
見た目だけ。
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「もう帰っていいですか、話すことないと思います。」
九井「……………あっ、おう。悪いな、呼び止めて。」
「うぅ〜〜〜〜、その顔でその口調は本当にやめて欲しい、喋り方三葉くんじゃないもん。」
九井「その顔でもんとか言ってんじゃねぇよ、赤音さんはもうちょいお淑やかだ。」
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似てない
似てなんかない、少しも似てない。
だけど、表情とか動きとか、見た目とか、それだけは似てる。
その声で、赤音さんなんて言わないで、私だけを見てくれてたくせに。でも彼は、三葉くんじゃないし、三葉くんはもっと若いもん。
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「失礼しました」
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立ち上がって、物を鞄に詰め込んで、ドアの前でお辞儀をした。明日なんて来ない、どうせ死ぬ。
まぁいいや、三葉くんのとこに行けるなら、それでいい。
それだけでいいもん、それ以外はいらなかったはず。
ドアを開けて、会議室から出て、ドアを閉めるその前に
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九井「──────── またな、” Aさん ” 」
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あぁ、その声が大嫌いだった。
ぱたんっ、と閉じられたドアを見つめては、涙が出そうになるも堪えるだけだった。
ふるふると瞳を揺らしながら、瞳を涙で濡らしては、零れないようにと手の甲で拭った。
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─────── 似てない、似てないもん。
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全然、似てんなんかない。
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「三葉くんは、またな、じゃなくて。またね、だし。」
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閉じられているドアを見つめながら、やっと吐き出した言葉は、そんなもんだった。
私も彼も、その人が死んでることなんて、互いに分かりきっている。
けれど、互いに互いの好きだった人に似ているなんて、そんなのただの偶然ではないのかもしれない。
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「じゃあね、とでも言っとけばよかったかな。」
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吐き出す声が
見つめられる瞳が
揺れる髪が
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私の全てを苦しめた。
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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時