22. ” みつばくん ” ─ side 九井 ページ22
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彼女を迎えに行ったのが夜8時前。
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夜になると、寒さがやってくる。その寒さが、心を通り抜けていく気持ちだ。
蹲って、待っている彼女を見つけて、なんで外にいんだよって思ったのなら
徐に顔を上げたかと思えば、ポロポロと涙を流しながら、” 三葉くん ” と呼んでいた。その瞬間から、オレはいつもみたいな喋り方もやめて
同い歳である彼女に敬語を使って、榊三葉になる。
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別にそれを苦だとは不思議と思わなかった。これは契約関係だから、っていう理由が簡単にも、明確に思い出せるから。
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泣いてる彼女の頭を撫でながら、赤音さんとは違う匂いが鼻腔を刺激した。
ウッド系の匂いがして、赤音さんとは違ぇなって心の中で思って、声に出した言葉は「俺の家に行きましょっか」だった。
泣きながらもあるのか、上擦った声で「行く」の言葉に、なんなんだろうと考えながらも
彼女の手を握って、立たせては在り来りな高級車でもなんでもない、普通車に乗り込む。
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「みつばくんの運転、久しぶりかも」
九井「そんな久しぶりですっけ?」
「久しぶり、だって三葉くん、たまに事故起こすから」
九井「えぇ……………、そんな起こしてるつもりは無いんですけど」
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いや、事故起こすやつが運転したらやべぇだろ、免許剥奪されるだろ、最終的には。どんくらいの頻度で起こしてんだよ、
それで死なないとか、むしろ怖えぇけど、いや、運転やめろ、免許剥奪だ。二度と車に乗んな榊三葉!!!!
まぁ、もう乗ることも無いのだろうけど。そんな奴のどこがいいんだ、1歩間違えれば塀の向こう側だぞ。
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「みつばくん」
九井「はい?」
「呼んでみただけ」
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そうやって無邪気そうに、子供見たく笑っては、こつんっと窓ガラスに頭をくっつけて前を向く井山A。
へらりっ、とした笑い方がどうにも似ていたのは、きっと顔が似ているからなのだろう。
アクセルを踏み込んで、動き出した普通の車
鳴り響いた車の排気音が綺麗ではなかった。
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────────── 『 みつばくん 』
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吐きそうな程に甘い声だった。
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ちょき。(プロフ) - 十六夜夏希さん» まだ2人とも囚われてるような感じになってます!! 少しずつですが、物語が動き始めつつありますので、見守って貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年12月5日 9時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - え、めちゃくちゃ切ない…。それぞれの囚われている感がめっちゃ好きです。ココの推しもっと増えろ。(笑)更新頑張ってください! (2021年12月1日 2時) (レス) @page38 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココオタクって言われてしまったうち喜んでいいのやら😩 (2021年11月30日 0時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ちょき。(プロフ) - ちえさん» 九井くんいいですよね!!わかります!!私も好きです! 今回は九井くんメインのお話でしかも長めのお話なので、楽しんで貰えたらです! コメントありがとうございました! (2021年11月28日 23時) (レス) id: 186429bef0 (このIDを非表示/違反報告)
ちえ - ココが推しなのでこういう話しがもっと見たいです。 (2021年11月26日 19時) (レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちょき。 | 作成日時:2021年11月22日 13時