ライ・オン・ライ 【 九井一 】

19.first contact ページ19

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時折、死ぬほど大切な人に会いたくなる時がある。






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それは独りで、孤独で、何も考えたくないと思った時に起こりやすい、私の場合は。







それか、大きなミスをしたり、怒られたりした時、大切な人に会いたいと思う。








だから、私は彼を利用するだけだった。キレイでまともなオトナは、その関係性を切れ、契約を破棄しろって言ってくるだろうし、それが正解なんだと思う。








それは、正解なんだよ、絶対に。









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鳴り響いた電子音は私の願いなのかもしれない。









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[ 三葉くんに ]










[ 会いたい ]











[ ……………………死ぬほどに会いたい ]











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気づけば送っていたその電子端末の文字列を見て、1人で溜息を吐き出した。どうしてなんてわからなかったけど








ただひたすらに







会いたかった、三葉くんに。九井さんじゃなくて、榊三葉に、ただ、それだけで。










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本来なら連絡先なんてその人の名前のまま登録する。九井さんって登録したままでいいのに







三葉くんって変えて







私がすがって望んで、願って、手を伸ばしたのなら、彼は三葉くんになってくれるからって







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私はそれに甘えて生きていいのだろうか。









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ダメだ、やっぱり取り消しにしよう、私は違うんだって。バカにしないでよ、って送り付けてブロックでもすれば。










すれば









私は、もっとマシな人生でも歩めたのかな。











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[ わかりました、迎えに行きますね ]









[ Aさん 。]












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作り上げられた文字列、鳴り響いた通知音、嫌な程に鮮明で当たり前のようにと脳内再生される彼の声。









息ができない









苦しい。










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このまま死んでしまいたいなんて、思ってしまう。











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｢馬鹿だなぁ、私、本当に、ばか｣










｢……………………………馬鹿女｣










｢だいきらいだ｣












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会社の前、蹲りながら、彼を待っていた。









どっかに居ればいいのに、そんなのもめんどくさくて、どうせ前みたいなカンフーコートでも着てくるんだろって










ちょっと文句つけてやるって気持ち。












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そんな元気、出るかなぁ、私。










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